結晶銀河 (年刊日本SF傑作選)
- 作者: 大森望,日下三蔵
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2011/07/27
- メディア: 文庫
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収録作の中から気になった作品について感想。
・冲方 丁「メトセラとプラスチックと太陽の臓器」
日常目線で語られる進化の大飛躍。
・小川一水「アリスマ王の愛した魔物」
まあ実際米軍の目指すRMAの究極の姿ってのはこんな感じかもね。人の命をモリモリと食べつつひたすら計算を行う施設というイメージが何とも魅惑的。
・伴名 練「ゼロ年代の臨界点」
お嬢様学園の変りダネ三人組ってだけで条件反射的に川原泉「笑うミカエル」の絵で脳内再生される・・・・。なんとも言えない脱力感とオチが面白い。
・長谷敏司「allo, toi, toi」
ティプトリーJr.の「ラセンウジバエ解決法」(「星々の荒野から」収録)では「(うろ覚え)内分泌腺により決定される」とされている衝動が「社会性」というキーワードで解剖されていく・・・のかな。考えてみると「ラセンウジバエ解決法」では「正常な」性的衝動とこどもに対する「異常な」性的衝動が切り分けられて無いんだな。それ以前に「愛情」と「性的衝動」が分離不可能なものとして書かれてたような・・・・改めて読み直して比較したい。
・眉村 卓「じきに、こけるよ」
日常生活にふと入り込む怪異について淡々と語る一人称短編。
「産業士官候補生」や「滅びざるもの」のような激烈な体制内上昇志向主人公とその挫折というテーマを書いた人が、こういう方向性で書くようになったというのは、老成した・・・と言っていいのか、ふと寂しくなる。それはそれとして淡々とした自分の「死」への眼差しが何とも言えず感動的。
・酉島伝法「皆勤の徒」(第2回創元SF短編賞受賞作)
椎名誠風の異世界名詞+テラフォーミングSFってことでいいのかな。癖があり過ぎる気もするけど、何のかんの言って面白かった。