「原色の想像力2」感想
原色の想像力2 (創元SF短編賞アンソロジー) (創元SF文庫)
- 作者: 大森望,日下三蔵,堀晃
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/03/23
- メディア: 文庫
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収録作の中で気になったものの感想。
- 「繭の見る夢」
「陰陽師」系ファンタジーとみせつつ、日本SFのお家芸であるメタSF・言語空間SFへ持って行き、さらにはBL要素や特撮要素まで取り込む隙のない作品。面白いかどうかというと面白いんだけど、危なげがないというか、ハッタリが無いというか・・・。
- 「ニートな彼とキュートな彼氏」
背景となっている技術は、もう「どうやって収益化するか」っていう段階に入っており(例えば「その数学が戦略を決める」とかビッグデータ系の話)、2012年の時点でSFとして出すのはどうよという気がする。
- 「What We Want」
個人的には収録作の中で「洞の街」と並んでベスト。
長さの割にアイデア詰め込みすぎだろという気もするけど、それも欠点ではなくむしろ長編版を読んでみたいと思わせるぐらい面白い。ブリン「知性化」シリーズから覇権争いとか「始祖」の謎とかの抽象的概念をぶん投げて、その分「金儲け」に置換したような世界観。人類にとってはある意味「知性化」シリーズよかもっとしんどいかもしれない。
まあ、長さ的にしょうが無いとはいえ取引の詳細がすっ飛ばされたりしているのが不満だけれど、そのへんは将来出るであろう長編版に期待。
- 「ものみな憩える」
ノスタルジーSF。完成度は高いと思うものの、後ろ向きだなあ。
- 「洞の街」
収録作の中で、SFらしいハッタリが一番効いていた作品。「皆勤の徒」と作風がほぼ同じ気がしますが、ハッタリこそSFの命なんで問題なし。