パーネル「地球から来た傭兵たち」シリーズ

地球から来た傭兵たち (創元推理文庫 (671‐3))

地球から来た傭兵たち (創元推理文庫 (671‐3))

トラン攻防戦―地球から来た傭兵たち 2 (創元推理文庫 (671‐4))

トラン攻防戦―地球から来た傭兵たち 2 (創元推理文庫 (671‐4))

勝利の嵐〈上〉 (創元推理文庫―地球から来た傭兵たち)

勝利の嵐〈上〉 (創元推理文庫―地球から来た傭兵たち)

勝利の嵐〈下〉 (創元推理文庫―地球から来た傭兵たち)

勝利の嵐〈下〉 (創元推理文庫―地球から来た傭兵たち)

昨年末の新宿京王百貨店古本市で入手。

(「地球から来た傭兵たち」あらすじ)

敵に完全に包囲されてしまったリック・ギャロウェイの小隊は、奇妙な宇宙船の訪問を受けた。絶体絶命の彼らを救出してやる代わりに、宇宙人のための傭兵として働けというのである。リックたちに選択の余地があろうはずもない。前途に何が待ち受けるのかも知らぬまま、彼らは宇宙の彼方へと運ばれていったのだが・・・

運ばれていった先は人類の住む惑星。どうも宇宙人が過去数千年の間に、主人公たちと同じ手口で全滅しかけのローマ軍団やらケルト人やら中世ヨーロッパ重騎兵やらを定期的に入植させていた結果のようですが、文明レベルは何故か封建制あたりで止まったままという状況です。軍事的にも、重装騎兵が主役で弓兵が補助的に動くという末期ローマ〜中世ヨーロッパ風味。
宇宙人たちの要求は、リックたちに現代火器を駆使して征服王朝を打ちたてさせ、数百年に一度だけこの惑星上でだけ収穫可能な「ある作物」を栽培して引き渡すという何やら腑に落ちない内容でした。ところが主人公リックは着陸して5分で部下に裏切られ、小隊付き軍曹と共に小隊から放り出されてしまいます。
そういう状況で「重火器で無双するぜ!フゥハハハーハァー」とやってしまって弾薬切れアウト
となるのはよくある死亡パターンですが、リックはまず接触した現地人へ集団歩兵戦術を叩きこむところから始めます。もちろん、地球と同様に重騎兵ってのは封建領主制と結びついているのでいろいろと苦労するのですが・・・・・ってパーネルはこのパターンを「デイヴィッド王の宇宙船 (1984年) (ハヤカワ文庫―SF)」でもやってた様な。

封建制社会に何とか近現代を移植しようとして苦闘するという物語としても、パーネルならではの濃密な戦術描写も、あるいは何故この惑星の社会が封建制で止まったままと成っているのかという謎の真相や宇宙人側との駆け引きなど、いずれも面白いことは間違い無いです。ただし、シリーズ第4作は20年前から絶賛中断中。ああ・・・・ミリタリーSFで絶賛中断中っていうとどうも佐藤大輔っていうキーワードが思い浮かんでしまいますが気にしない。

あと、「地球から来た傭兵たち」に挟まっていた新刊案内パンフレット(1984年8月)が何故かやたらと気合が入ってます。結構な分量の加藤直之氏へのインタビューとか、粗筋紹介が掛け合い形式だったりとか・・・。ああ、この時代はこういう直接売り上げにつながらない部分にお金をかけれたんだなあ。