C84夏コミ戦果報告(一部)

実家に帰ったり色々あって間が開いたものの、C84戦果報告。

宇宙の傑作機別冊 スカッドミサイル増補改訂版

旧ソ連で開発されたR-11/R-17が中東や北朝鮮へ拡散し、さらにそれらが各国で改良されて・・・・という流れが興味深い。50年代のエジプトが欧州から人を引っ張ってきて独自の弾道弾開発してたり(後に挫折し、ソ連からR-17を導入・国産化。更にその後ソ連と縁を切って中国・北朝鮮と共同技術開発という流れ)、イラン・北朝鮮での弾道ミサイル/衛星打ち上げロケット開発についてもまとめなど色々と盛りだくさん。

R-17は結果として新しい宇宙開発諸国にとってのA-4となった。

ほんと、宇宙開発は今も昔もきな臭い。

宇宙の傑作機No.14 ルノホート

月面着陸がアポロ計画後となったため、いまいち日陰者というか目立たないというか、素人目には位置づけ的にちょっと微妙っぽい月面探査機ルノホートについて。
ルノホートそのものよりも、開発陣がチェルノブイリ事故処理のための遠隔操作ブルドーザ作成に関与していたりとか、月面上のルノホート二号がソ連崩壊後にオークションで個人に落札された経緯とか、計画当時の日本でのメディア上での扱いなどの周辺情報が面白い。

平田晋策著作集・新版1 「軍縮の不安と太平洋戦争」

戦前に活躍した冒険・架空戦記小説作家にして軍事ジャーナリストである平田晋策氏(昭和11年没)がワシントン・ロンドン海軍軍縮条約と来るべき日米戦争をテーマとして昭和5年に出版した論評の現代語訳版。

まあ、その後の太平洋戦争の結末を知っている視点で見てしまうと、色々と首をかしげてしまう部分が多いことは確かです。例えば、対米6割という主力艦・重巡保有比率について外交的敗北であると断じている点。日本海軍内では、この比率を是とするいわゆる「条約派」と、この比率に否定的な「艦隊派」の内部抗争が勃発しました。その後、条約派は枢軸国への参加拒否など、いわゆる「海軍良識派」へと発展していき、敗戦後に評価を高めていくことになります。で、「条約派」視点で見ると、アメリカに枷をはめ、グアムの要塞化を阻止したという点では(不満はあれど)受け入れ可能な結果なんですね。

とはいえ、当時の民間人から見た対米戦予測が中々興味深いのは確かです。米海軍の行動がオレンジ計画(開戦後即座に、米艦隊の全力を日本近海へ進出させる短期決戦計画)に従い、日本海軍はそれに対する漸減作戦を行うという状況想定は、当時の日本海軍の見解そのままではあります。しかし、日本の潜水艦について大変高い評価を下した上で、それでも米艦隊の対潜防御を突破するのが困難であると認識していたり、夜戦(水雷襲撃)でも日米の戦力差をひっくり返すのは無理だと判断していたりと、結構ドライ。

当時の作家/ジャーナリストが、軍縮条約や来るべき対米戦についてどのように認識していたのかという点が非常に面白いです。

「オオカミとヒツジ飼いのゲーム」

RNVR花組こんぱすろーず

1943年、ニューヨーク発リバプール行き護衛船団、HX231についてまとめた本。
広い視点に立った戦略レベルでの分析、護衛船団システムについての解説、個々の戦闘レベルの描写がそれぞれバランス良く描かれていて面白い。
それにしても、護衛船団から(損傷や機関故障によって)脱落したり、あるいは航法ミスではぐれてしまう商船が居ることは予想してましたが、意図的に「脱走」する商船が居たらしいというのが何とも太平洋だとあんまり考えられないというか何というか。脱走常習犯な船も居たらしい。

それにしても、船団護衛システムといい効率的なエアカバーといい、「海上護衛戦 (学研M文庫)」で描かれていた日本海軍とはレベルが違いすぎる。現役時代の大井篤大佐がこれ読んだら絶望の余り失意体前屈するんじゃないかというぐらいレベルが違う。

自虐的巡洋戦艦史 vol. 1 「インデファティガブル vs フォン・デア・タン」

自虐的巡洋戦艦史 vol. 2 「ライオン vs ザイドリッツ」

自虐的巡洋戦艦史 vol. 3 「タイガー vs 金剛」

自虐的巡洋戦艦史 vol. 4 「リュッツオー vs クイーン・メリー」

新見志郎 三脚檣

WW1の巡洋戦艦について日本語で読める数少ない貴重な資料。眼福眼福。

DEW指向性エネルギー兵器の基礎知識

井上孝司

「軍事研究」誌の連載をまとめたガチ本。でも表紙はロボと美少女。