福田ますみ「暗殺国家ロシア」紹介
切込隊長・・・じゃなかったやまもといちろう氏の下記Tweetを読んでて
ロシア人のお金持ちと話をしていると「儲け話を邪魔するジャーナリストの頭を3つ割った」とか「あのビジネスは10人ぐらいしか死ななかった」とかいう話がぽんぽん飛び出して、グリー田中が銀座で十億単位で溶かしたとかパチンコ屋が20億脱税で捕まりそう程度の話とは別次元で面白い。
Twitter / やまもといちろう: ロシア人のお金持ちと話をしていると「儲け話を邪魔する ...
この辺の話がネタ的に消化されてしまうというのも勿体ないので紹介。
- 作者: 福田ますみ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/12
- メディア: 単行本
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ロシアは、はたして民主国家なのか。メディアの状況を見れば、答えは「否」だろう。民主主義の根幹である報道の自由が事実上存在しないからだ。
たとえばテレビ局。プーチン政権は民放のオーナーを次々と逮捕。釈放の条件として会社の株を手放させ、それを国が買い取るという手法で、すべての局を政権の管理下に置いた。政権から送り込まれた経営者が番組に目を光らせ、ニュースは大本営発表と化した。
そのような状況下で孤軍奮闘、鋭い権力批判をつづけている新聞社がある。その名は「ノーバヤガゼータ(新しい新聞)」。
だが、今のロシアでは最も危険で難しい「不偏不党」「中正公立」を貫くがゆえに、これまで数々のスタッフが犠牲となってきた。白昼街中で射殺された者、放射性物資を密かに飲まされ衰弱の果てに命を落とした者、自宅前で撲殺された者......。
権力と対峙する記者たちの目を通して、「虚構の民主国家」の実態をえぐる、戦慄のルポルタージュ。
(amazon粗筋紹介より)
国際的に高い評価を受けている自由系新聞社「ノーバヤガゼータ」誌記者陣への取材を中心に、ロシアのジャーナリズムの現状を伝えるルポタージュです。「ノーバヤガゼータ」誌というと、「チェチェン やめられない戦争」で有名なアンナ・ポリトコフスカヤ氏(2006年、襲撃事件により死去)が所属していたことでも有名。
- 作者: アンナ・ポリトコフスカヤ,三浦みどり
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2004/08/25
- メディア: 単行本
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この著書についても本気で紹介したいところですが、今の自分には紹介出来るだけの余裕がありません。とりあえず、自分が初めてこの著書について知った書評を紹介します。
MURAJI's Book Page - チェチェン やめられない戦争
実際、数字としてどの程度のジャーナリストが危険に晒されているかというと
ジャーナリストの権利擁護を訴えている「緊急事態ジャーナリズムセンター」のオレグ・パンフィーロフの調査によれば、ロシアでは、ジャーナリストの身辺を脅かす襲撃事件が年間80〜90件起こっている。「ノーバヤガゼータ」のジャーナリストたちや、イングーシ共和国のエブローエフのように、最悪、殺害されるケースも後を絶たない。
「グラスノスチ(情報公開)擁護団体」のアレクセイ・シモノフ所長によると、プーチンが大統領に就任した2000年から09年までに、120人のジャーナリストが不慮の死を遂げている。
「このうち約70%、つまり84人が殺害されたと見られるが、自身のジャーナリスト活動が原因で殺されたと推定できるのは更にその内48人だ。48人の殺害のほとんどは嘱託殺人と思われるが、首謀者、実行犯ともに逮捕された例は数えるほどしかない」
年間80〜90件の襲撃事件が発生、そのうち確実にジャーナリスト活動が原因で殺害される例が10年間で48人と。あと、ジャーナリスト本人だけではなく、内部告発者への脅迫や襲撃・殺害事件なども多数発生しているようです。
また、全国紙での政府についての批判よりも、地方紙での地元知事・市長・治安関係者・企業トップへの批判の方が(マフィアと直結してる事が多いので)危険だそうで。そういう事情を考えると、上記統計から漏れている件数は相当有るんじゃないかという気がします。
中国であれば、国内一般紙でもジャーナリストへの弾圧などについての記事が出るようになってきていますが、ロシアについてはまだまだ充分紹介されていない部分も多いので(というか中国と比べると経済的な関係や人の行き来の絶対量が少ないからなあ)紹介してみました。