突発的にHarpoonリプレイ(1) シナリオ設定
現代海戦ゲームHarpoon(Harpoon Commanders Edition)の突発的リプレイ報告。
Harpoon Commanders Editionについては、過去のエントリを参照。なんだかHarpoonの魅力をあんまり伝えきれていない気がするので、背景説明等を込みでもう一度取り上げてみる。
(Harpoon起動画面・・・伝統のヒゲおやじはHarpoon Commanders Editionでも健在)
リプレイに入る前に、まずは背景の説明から。
バトルセット「GIUKギャップ」について
Harpoonの「バトルセット」とは、共通の地図と兵器データを使用するシナリオ集のこと。今回取り上げる「GUIKギャップ」バトルセットには、以下のような想定を元にしたシナリオが含まれている。
90年代はじめ頃80年代中盤、ソ連(当時)とNATOの通常戦力による全面戦争が始まった。欧州ではアメリカ・ドイツ・イギリスを中心としたNATO諸国軍とソ連を中心としたワルシャワ条約機構軍が激しくぶつかり合っている。NATO側の海軍・空軍としては米本土からの補給物資や増援兵力が届かなければソ連の地上戦力に対して優位に立つことが出来ないため、米本土−欧州間の海上交通路を守ることを目指す。一方ソ連側は、欧州での地上戦で優位に立つために米本土−欧州間の海上交通路を切断することを目指す。
そして、NATO側の海上交通路を守る為の防衛ラインとして当時想定されていたグリーンランド・アイスランド・英国を結ぶライン−通称GIUKギャップをめぐり、NATOとソ連の空海軍が激突する・・・
ついでに、まだ新人だった頃(言い換えると、まだ「アメリカの敵」であってもフェアに描写していた頃)のトム・クランシーがボードゲーム版Harpoonを参考にして書いた「レッドストームライジング」がそのまんまなシナリオなんで紹介。
- 作者: トムクランシー,井坂清
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1987/09
- メディア: 文庫
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
- 作者: トムクランシー,井坂清
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1987/09
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (5件) を見る
また、Harpoon Commanders Editionには「GIUKギャップ」の他にも「NACV(北大西洋護送船団)」「MEDC(地中海紛争)」「IOPG(インド洋・ペルシャ湾)」といった他地域を扱ったバトルセットや、冷戦終結後の西アジアを扱った「Western Pacific」など様々なバトルセットが含まれている。
シナリオ「ケフラヴィーク要塞(Fortress Keflavik)」
GIUKギャップの要となるのが、防衛ラインの真ん中に位置するアイスランド。というか、ケフラヴィーク基地。NATO側としては、GIUKギャップの海底にソナーを設置して海上交通路にとって最も脅威となるソ連の潜水艦を探知し、ケフラヴィークに居る対潜哨戒機を使って叩くことが出来れば、米本土−欧州間の護送船団は安全に航海できる。
一方でソ連側から見ると、アイスランドは他のNATO軍事拠点から孤立しており、それほど大規模な地上兵力が駐屯している訳ではない。できれば開戦初頭で占領してしまってGIUKギャップに穴を開けたいところ。
今回のシナリオ「ケフラヴィーク要塞(Fortress Keflavik)」は、ソ連がアイスランド占領のために大規模な揚陸部隊を出撃させたという想定。
- NATO側の目的は、ソ連の揚陸船団を撃破し、ケフラヴィーク基地の安全を確保すること
- ソ連側の目的は、揚陸船団を守りつつケフラヴィーク基地を撃破し、揚陸作戦を成功させること
兵力配置
(青アイコンがNATO側、赤アイコンがソ連側部隊)
NATO側
今回のシナリオで焦点となるケフラヴィーク基地の他、イギリス北部のストーノウェイ基地も使用可能。
アイスランド、ケフラヴィーク基地
配置戦力
- F-15戦闘機 × 18機 (空対空装備)
- P-3C対潜哨戒機 × 12機 (対潜・長距離対艦装備)
- F-4戦闘機 × 18機 (対地装備。肉薄攻撃のみ可能)
- A-7攻撃機 × 12機 (対地装備。肉薄攻撃のみ可能)
- E-3早期警戒管制機 × 3機
さすがにGIUKギャップの要石だけ有って、結構な防空戦力が配置されている。ただ、P-3Cは対潜作戦にも使用するので、対艦攻撃力は不足。
F-4についてはF-15のバックアップ用に空対空装備へ変換する。
イギリス北部、ストーノウェイ基地
配置戦力
- F-4戦闘機 × 6機 (空対空装備)
- バッカニア攻撃機 × 6機 (長距離対艦装備)
- ニムロード対潜哨戒機 × 6機 (長距離対艦装備)
こちらは如何にも手薄。こちらに揚陸してくる可能性は無いため、バッカニア攻撃機はケフラヴィークに回すことにする。
水上部隊 コード「AAS」
アイオワ級戦艦を基軸に9隻で構成される水上打撃部隊。ヴァージニア級原子力巡洋艦や、リーヒ級巡洋艦などの防空戦力も充実しているが、イージス艦は含まれない。
下手に目立つとソ連の長距離ミサイル(後述)でフルボッコにされる可能性があるため、レーダーなどは使用せずにひたすら目立たないようにしてもらう。
アイオワ級戦艦。遠距離攻撃には対艦トマホークミサイル、近接攻撃には16インチ砲と対艦攻撃的には無双だが、実際には使いどころがあんまり無い。棒グラフはレーダーの探知距離。SPS-49レーダーを使用した場合、大型機を450海里で探知可能(ただし、相手の高度が低空になるほど探知距離は減少する)。
「AAS」グループのフォーメーション。中央部に大型艦。周辺部を対潜・対空用の駆逐艦やフリゲートが固める。
潜水艦部隊 コード「ABU」
オベロン級通常潜水艦2隻で構成される潜水艦部隊。原子力潜水艦や水上艦艇と比べると速度が遅いため、待ち伏せ攻撃にしか使えない。
とりあえずケフラヴィーク付近で最終防衛ラインになってもらう。
ソ連側
ノルウェー西岸、ボード基地
主にMig-29やSu-27等の戦闘機が配置されている。アイスランドまで出張って来れるのはSu-27のみ。
コラ半島の航空基地群
長距離対地・対艦ミサイルを装備したソ連爆撃機が多数配置されている。このシナリオでのソ連側の切り札。
Tu-22Mバックファイア爆撃機と、AS-6 Kingfishミサイルの性能表。
射程250海里(450km、東京上空から発射すると京都あたりまで届く)は圧倒的。ちなみにNATO側の主力空対艦・艦対艦ミサイルであるHarpoonの射程は60海里程度。
このシナリオでは27機のTu-22が配置されているため、各機3発のミサイルを発射した場合には総数81発となる。水上部隊の防空力では(たとえイージス艦が含まれていたとしても)対応できず、大損害が発生すると予想される。いわゆる対艦ミサイル飽和攻撃。
所在不明の揚陸艦隊
所在・規模共に不明。
所在不明の潜水艦隊
所在・規模共に不明。シナリオの勝利条件には関わってこないので基本放置。
次回へ続く