アードマン連結体

アードマン連結体 (ハヤカワ文庫SF)

アードマン連結体 (ハヤカワ文庫SF)

まだ全部読み終わってない(「ナノテクが町にやってきた」「オレンジの値段」「アードマン連結体」「初飛行」「進化」まで読了。「歳の泉」の途中まで)が、完読する自信が無いのでメモ程度に。

正直、肌に合わないと言うかなんと言うか、ブラッドベリの後ろ向き感をそのままにして、あの詩情溢れる文体を陰々鬱々とした文体に置き換えたような、そんな印象。ブラッドベリの場合、後ろ向きであってもノスタルジーに浸る幸せがあったとは思うんだが、この人の作品だとそういう救いが無い気が。
では、何か唸らせるようなアイデアとかビジョンが有るかというと、これも無い。
この作家が米国SF界では高く評価されてるらしいというのも首を捻ってしまう。どっちかというと一般文学系で受けそうな気がするが。
作品の品質が悪いかどうかと言われると、悪くは無いと思うんだが・・・とにかく肌に合わない。我ながら不当に辛い評価しか書いてないと思うが、そう感じてしまったのはしょうが無い。
初っ端の「ナノテクが町にやってきた」の印象が悪すぎたのかなあ。結局世の中、二種類の人間(主人公たち「自活できる人間」と「クズ」)しかおらず、自活できる人間だけ集まった片田舎のコミュニティで下界の混乱をよそに(閉塞して)幸せに暮らしましたとさ・・・とか、非常にカルト的な考えだと思うんだが、作者が危険性に無自覚そうなのが怖い。正直、"「ベーシックインカム」論者の人が読んだらどんな反応をするか"と想像するぐらいしか面白みが無い気がする。

今の漏れには理解できない魅力がどっかに有る筈だとは思うんだが、読んでて精神的に疲れるので、魅力探しは後回しだな。