- 作者: カール=ハインツフリーザー,Karl‐Heinz Frieser,大木毅,安藤公一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2003/03
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まとめを箇条書きしてみると。
- ヒトラーやドイツ国防軍の主流派は確固とした「電撃戦」戦略を元に第二次大戦を始めたわけではない。むしろ第一次大戦型の消耗戦を想定していた。
- ドイツ軍指令部は、冒険的な進撃に手綱をかけるため、たびたび進撃停止命令をだしていた。一方、アルデンヌ森を突破した機甲部隊の現場指揮官は、意図的に命令を無視して電撃的な進撃を続けた。
- フランス軍は戦車の性能では独軍に優越しており、局所的な大戦果を上げている場合もある。しかし、全体的には最後まで電撃戦のテンポに対応できず(p221: 「戦争の最初から最後まで、フランス軍の各司令部は、メトロノームのように、ゆっくりと同じリズムで事務をこなしていた」)、半ば自壊していった。
- ヒトラーによるダンケルクへの進撃停止命令は、ドイツ国防軍の政治的発言力を抑え、統帥権を握ることを目的としたものである。彼にとっては戦争の勝敗よりも指導者原理を徹底することの方が大事だった。
- 「電撃戦」は、対仏進行後のプロパガンダにより定着した概念である。ヒトラーはプロパガンダのはずの「世界電撃戦」の幻想に取り付かれ、対ソ戦を実行し、最終的には連合国の生産力の前に敗れ去った。
大筋でレン・デイトン「電撃戦」似ているが、豊富な史料とそれを基にした厳密な考察により史学的な検証に耐えるものとなっている。対仏電撃戦について深く突っ込んだ考察を求めるなら、やはり必読だろう。
また、対仏電撃戦の勝利は物量や戦車の性能ではなく、現場のダイナミズムが最大限に生かされたことで達成されたのだという記述を読むと(こういうことを書くと通俗的なビジネス戦史書みたいでいやなんだが)コンプライアンス対応やら工数管理で書類上の手続きをガチガチに固められると現場が萎えるんだよなあ・・・ということを思ったり。てか作業報告(日報)を三種類書いてるんですが何とかならんかなあ。