夜来たる

夜来たる (ハヤカワ文庫SF)

夜来たる (ハヤカワ文庫SF)

アジモフの初期短編集。Bookoffから救出。15年程SFを読んできたわけだが、何故かこの「古典」をスルーしていた。ちょうど良い機会なので読むことにする。

で、表題の『夜来たる』についての感想。

どうもアジモフというと、『鋼鉄都市』、『裸の太陽』やロボットシリーズといったミステリ+論理パズル系の作家だと言う印象があったのだが、良い意味で裏切られた。理知的な語り口の裏で恐怖が積み重なっていき、最後にはとうとう・・・・という展開は、ラブクラフトの悪夢系短編(『ナイヤルラトホテップ』(「ラヴクラフト全集〈5〉 (創元推理文庫)」収録)やローマ時代を舞台にした悪夢についての書簡(「ラヴクラフト全集7 (創元推理文庫)」収録))を思い起こさせる。とはいえ、文明周期論に絡めたりするところはアジモフらしい。

しかし、『夜来たる』と他の作品との作風が違いすぎるような気もするなあ。アジモフによる前書きを見ても、本人はこの作風を気に入っていなかったような印象だし。キャンベル(編集者)の影響が大きかったのかな。