おーい磯野ー、Flashpoint Campaignsしようぜ
どんなゲームなの?
Flashpoint Campaignsは、1980年代末に発生していたかもしれない第三次大戦での、ヨーロッパ(西ドイツ)での陸戦を扱った戦術級シミュレーションゲームです。
ざっくばらんに言うとあれです。『レッドストーム・ライジング』とか『第三次世界大戦―チーム・ヤンキー出動』とかあの辺り。
- 作者: トムクランシー,井坂清
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1987/09
- メディア: 文庫
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第三次世界大戦―チーム・ヤンキー出動 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
- 作者: ハロルド・W.コイル,小関哲哉
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 1988/11/01
- メディア: 文庫
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ゲーム画面
アウトバーンのジャンクションへ殺到するワルシャワ条約機構軍(WPO)(赤ユニット)と、押し止めようとするNATO軍イギリス部隊(黄色ユニット)。NATO軍は主正面では押されつつあるが、WPO部隊の後方へ回り込んだ部隊による包囲網を完成しつつ有るところ。
1ヘクスがだいたい500m
ちなみに現在の実際の地形はこんな感じ
なかなかになまなましい。
システム面での特徴について
意思決定サイクル
ターン開始時にユニットへ命令を出し、次のターンが始まるまでの間はセミリアルタイムで時間が進行していきます。その間は命令を追加したり変更したりすることは出来ません。
で、画面右に表示されてたこのパネル(C3: Command, Control and Communication)なんですが、このゲームの一番のキモになります。
黄色いバーは、「NATO側は命令を発行するまでの時間間隔が17分である、更に次に命令を発行出来るまでの予想間隔は16分である」ことを意味しています。
一方、赤色のバーは「WPO側は命令を発行するまでの時間間隔が48分である。更に次に命令を発行出来るまでの予想間隔は36分である」ことを意味しています。将棋で例えるならば、NATO側はWPO側が一手打つ間に三手打てるということです。あるいはミリヲタ的に表現をするなら「NATO側はWPO側と比べてOODAループを三倍速く回せる」ということを意味します。
この意思決定サイクルの速さの差を見るとNATO側が圧倒的優位に見えますが、ところがどっこい、このシナリオではWPO側の戦力はNATO側の二倍程度あるので、NATO側が下手を打つとあっという間に数の力で押し切られます。
また、この値は電子攻撃(EW Hindrance)による通信妨害や司令部ユニットが攻撃を受けたり壊滅したりしているかどうか、あるいは各部隊が準備万端か(unit readiness)どうかなどにより大きく変動します。例えば、敵司令部ユニットを間接砲撃で混乱させたり、敵の後方へ浸透して司令部ユニットを戦闘に巻き込むことで相手の意思決定を麻痺させるといった戦術を取ることも出来ます。
組織階層
OB(Order of Battle)タブには組織階層が表示されます。このマップでは最高司令部ユニットが"TF Hell's Messanger"、その下に"4RTR (4th Royal Tank Regiment)"司令部ユニットがあり、更にその配下にA/4RTR, B/4RTR, CRT/4RTR 等の司令部ユニットが存在し、更にその配下には戦闘を行うための部隊が存在することが示されています。
司令部ユニットには通信範囲があり、配下の司令部や部隊をカバーしている必要があります。また、部隊が補給を受ける際には司令部ユニットの近くで行う必要があるため、効率的に部隊を使用するために組織階層を色々と変更する必要があります。
例えば歩兵大隊に戦車一個小隊を分散配置するとか、あるいは分散されている戦車小隊をまとめて中隊として使用するなどなど。そのマップでどのように戦闘を展開していくのか、計画を立てた上で組織階層を変更してください。
命令は聞いた...が、今すぐ実行するとは言っていない......
上の意思決定サイクルについての話で、「命令を下す」話をしましたが、このゲームでは命令を出したとしてすぐに実行されるとは限りません。
例えばある部隊が目の前の敵と打ち合っているときに移動命令が出たとしても、「そんなのより今は眼の前の敵と戦うほうが先」な感じでなかなか言うことを聞いてくれません。
基本的に、部隊を思うように動かせるのは交戦が始まる前までで、実際に交戦が始まってからはケリがつくまでの間は「部隊を動かせない」と思っておいたほうが良さげです。そのため、防御側は交戦が始まる前に如何に有利な地形(遮蔽物が多い森林や市街地ヘクスで、かつ標高が高くて敵の予想進路に対する見晴らしがよく、更に後退する際に射線が通らないような場所)を確保することが死活問題となります。そのような地形を確保できれば、小部隊で敵の大部隊を長時間拘束することが可能となります。逆に、有利な地形を確保できないままでなし崩し的に交戦が始まった場合...兵力が大きなWPO側にとっては一気に押せるチャンスとなりますが、兵力が少ないNATO側にとってはほぼ負けが確定する感じです。
あと、戦闘に巻き込まれていない予備兵力は超大事。
追記: 上で書いたのは部隊に"Hold"(確保)を指示した場合の挙動。"Screen"(前衛)を指示すると射撃後に移動してくれますが、これはこれで防衛ラインを作って一定時間保持するといった用途には使えません。
補給ルール
ユニットはそれぞれ燃料・弾薬をもっていて、20分~30分程度交戦すると弾薬が空になります。
司令部ユニットの近くにいると再補給が出来るのですが、問題は再補給中には攻撃に対してかなり脆弱となること。敵の射線が通らない場所まで後退して補給を受けるべきなのですが、上で書いたように後退命令を出しても即時に実行してくれるとは限りません。ということで、煙幕等を張ることで射線を一時的に遮ってそのすきに交代するか、リスクを承知でその場で再補給を行うかという判断を行う必要があって悩ましい。
戦車の強さ東西比較について
このゲームではあくまで80年台後半の欧州を扱っており、湾岸戦争のような西側戦車の圧倒的な性能の優位は再現されていません。長距離で射撃を行っているうちは西側第3世代戦車の方が優位ですが、ある程度距離が詰まると東側戦車との性能差は縮まっていきます。そして殆どのマップではWPO軍の戦車はNATO軍の数倍程度の数の優位があります。NATO側はこれを踏まえて「如何に効率的にキルゾーンを形成するか」という方針で戦車を使っていくべきです。
AAR書こうと思ったけどここで力尽きた
次回に続く