ゲーム『Vietnam ‘65』感想
色々と面白かったので紹介。
自分がプレイしたのはPC版store.steampowered.com
iOSアプリ
からの移植らしい。『Vietnam 65』はベトナム戦争を題材としたターン制ウォーゲームです。
正直な所、このゲームは万人向けではないです。プレイしててあまり爽快感はありません。ただ、米国から見たベトナム戦争の「面倒くささ」が上手いこと表現出来ていて 興味深い。
以下、ルール説明
"Hearts and Minds"ポイントとPoliticalポイント
こんな感じの、ジャングルの中に水田と村が散らばっている感じのマップが自動生成されます。
で、プレイヤーの勝利条件としては、左上の"Hearts and Minds"ポイントを貯めることです。
具体的にどうするかというと、
- 歩兵部隊を村落へ送り込む
- 村落の近くで敵(ベトコンあるいは北ベトナム軍)を撃退
- 敵の基地を探しだして撃破
といった感じです。要は、地元住民の"Hearts and Minds"を掴むような行動でポイントを得ることが出来ます。逆に、敵の襲撃で被害が出たり、敵の歩兵部隊に村落を占拠されたりすると"Hearts and Minds"ポイントは低下します。まあ、米軍の場合には遠くの村落へも輸送ヘリであっという間に歩兵部隊を送り込めますし、配置転換も輸送ヘリであっという間に済みます。
また、「敵を撃退」っていってもそんなに難しくは有りません。いったん敵を捕捉してしまえば、近くにいる歩兵部隊で撃破するもよし、戦車や兵員輸送車で撃退するもよし、砲兵の間接射撃で撃退するもよし、攻撃ヘリで叩くもよし、それでも射程外の場合には空爆を要請するもよし。よほど運が悪くない限りはどんな方法で攻撃しようが完勝できます………敵を捕捉出来れば、ですが。
敵は大抵の場合はジャングルに潜んでいて、地雷を敷設したり嫌がらせ的な待ち伏せを行ってくる程度、あとは村落や基地へ襲撃をかけてきますが、大抵は対応できます。敵を撃退するとPoliticalポイントがたまり、部隊の補給や増援部隊の追加に使用されます。
Politicalポイント無しでも南ベトナム軍ユニットを作成できますが、これがまたお察しください的な能力(一応、米軍の歩兵ユニットよか索敵範囲が広かったり"Hearts and Minds"を獲得しやすかったりするらしいですが、戦闘には弱い)。
補給切れ即死ルール
で、一見すると米軍側の楽勝に見えるルールですが、ただひとつ注意が必要なのが補給システムです。このゲーム、部隊をいったん基地の外へ出してしまうと、地上部隊であっても1ターンごとに部隊の補給ポイントが減少し、補給ポイントが0になると部隊は消滅します。なので、村落へ送り込んだ歩兵部隊に対してヘリコプターや装甲兵員輸送車で定期的に補給を行う必要がありますが………これがまた面倒くさい上に、輸送ヘリや輸送車が補給物資を搭載できるのは、HQやFirebaseといった限られた基地だけなので、パズル的な思考が要求されます。また、たまに輸送ヘリが襲撃されたりするとギリギリで回ってた輸送ヘリのローテーションが崩れ、補給体制が一気に崩壊する可能性も出てきたりしてめんどい。
周り全部敵
ジャングルに潜む敵を掃討するには、戦線(部隊を連ねた「壁」)を作って安全地帯を確保するという方法が有効に思えますが、このゲームでは上記の補給切れ即部隊壊滅ルールと、そんなに余裕が無いPoliticalポイントの制約により、部隊は不足するわ補給も回らないわとなり「壁」を形成することが困難です。
なので、村落や基地というマップ上の「点」を輸送ヘリの空中機動で結ぶ(ということは、「点」と「点」の間のジャングル地帯はゲリラの跳梁跋扈を許すことになる)という、史実のベトナム戦争的な展開が強制されます。
とは言え、慣れればなんとかなる。
まとめ
と、こんなかんじで、「正面から戦えば絶対勝てるけど、周りじゅう敵に囲まれてるし被害が発生し続けるし神経すり減る」という、プレイヤーにとってストレスフルで爽快感の無いゲーム展開が楽しめます。ゲームシステムは結構カジュアル寄りで、そんなに複雑なルールでは無いものの「ベトナム戦争っぽさ」が上手く表現されていて面白い……のかなあ。いや万人向けでは無いのは確かですが、間違い無く面白いと思います。