簡易携帯線量計測定者の憂鬱
Togetter - 「素人が測った放射線量の数値は信用できるか」
を読んでて、自分なりの携帯線量計の使い方について試行錯誤した経験を公開したほうが良いかなと思ったのでとりあえずまとめてみます。
自分は学生時代に実験で放射性同位体とか使っていて、それなりにサーベイメーターを使った経験はありました。だけど、放射線量を測定するような使用法ではなく、あくまで放射性同位体を含む溶液を微量にこぼしていないかどうか確認したりするコンタミチェッカーとしての使い方がメインです。定量的な評価をする際には、液体シンチレーションカウンターとかX線フィルムとかを使うんで。
で、簡易携帯線量計を買った当初は、下のような目的を考えてました。
- 食品の簡易チェック・・・・・・・・・汚染された食品の取り扱いについて混乱していた頃だったので。バックグラウンドと比較して線量が高いか低いかぐらいは判定できるかなと。(特に土が付いていれば)
- 自宅周辺の環境放射線量チェック
正直なところ、2についてはあんまり期待していなくて(どのみち簡易携帯線量計でそこまで精度は出せないと思ってた)1についてもまあ気休めでも良いかなと言うぐらいのノリ。
ネタ的測定器 "DX-1"
・・・・で、買ったのがコイツだよコイツ。
DX-1
上のサイトで買ったわけではなく、某ebayでセコハンを買ったわけだが。
サイトの画像を見ると分かるけど、メーターの目盛りの下限が1μSv/hr。当時(3月下旬)の首都圏の空間放射線量測定値がだいたい0.1μSv/hr程度だったので、そもそも周囲の放射線量をチェックするには一桁精度が足りない。
それ以前にマニュアルに
Typical Accuracy(測定精度) ±20%
と書かれてるぐらいで・・・・使えんと思って一ヶ月ぐらい放り投げてた。そもそもGM管が生きてるかどうかも分からないし(一応クリック音はするものの、ノイズなのかカウントなのかが分からない)。
本当に生きてるのかこのGM菅?
とりあえず、GM管が生きているかどうか確認したかったので適当な放射線源を探すことにした。
蛍光灯のグローランプの中身がβ線源ということを知り、早速割ってみてDX-1で測定。言うまでもないですが、ガラスの破片が危ないので真似する場合は慎重に!
とりあえず、バックグラウンドと比較してややカウントが多いことを確認できました。(ただし、正確なカウント数についてはデータなし)多分GM管は生きてる。
あと、DX-1でβ線源を測定する場合には、GM管がむき出しになってる部分をターゲットに向けること(ただし、その場合はSv/hへの換算を行うことは出来ない。理由は後述)。
一応、通常使用字はシャーシのプラスチックでβ線を弾いてγ線のみを測定し、β線の検出が必要な場合には上記のような測定をするという設計らしい。こういうアメリカンな大味設計って結構好きです。
メーターなんて飾りです。
メーターの目盛りの下限が1μSv/hrで、禄に周囲の放射線量も測定できないという話を上でしましたが、考えてみるとこのDX-1、GM管にカウントが出るたびにクリック音が鳴るタイプな訳で、時間あたりのカウント数が分かれば、とりあえず線量を算出できるはず・・・と思ってマニュアルを探してみると
0.1mR/hr. on the meter corresponds to about 330 counts per minute.
つまりは"1μSv/hr≒330cpm"とのこと。30〜60秒ぐらい継続して長時間カウントを測定し続け、一分あたりのカウント数(cpm)を得ることで、線量換算できそうです。あくまで"約"ですが。
(追記:一応、メーターの下限以下を測定する際には時間あたりのカウントを数えろとマニュアルにも書いてます。ちなみにマニュアル上の測定レンジは"0-1000 μSv/hr"。なので、一応はマニュアルに沿った使い方+測定レンジなはず・・・)
ただ、注意点としては
- マニュアルによると、初期校正に使用した放射線源はアルミシールドでβ線をカットしたCs-137(γ線のみを測定)とのこと。要はβ線が入ると正しい線量が出ないです。
- 製造後にかなりの時間が経っているため、上の線量ーCPM比例係数がGM管の経年劣化などで変化している可能性が高いです。
- 室内(床上1m)で複数回測定(各30sec)しましたが、カウントはそれぞれ14, 20, 24cpm。同一条件で時間をかけて測定した場合でも結構バラツキがあります。あとで余裕が出来れば度数分布図でも作るかも。(追記:バラツキを測定してみた)
- 普通に考えると、放射線量に依存しないノイズカウントによって測定の下限値が決まるはず。上の線量ーCPM比例関係が10〜30cpmぐらいの領域でも成り立つのかどうか。
室内や家の周囲を測定したところ、ほぼ14〜24cpm(上の式で換算すると0.04〜0.07μSv/hr。ただし、上に書いた理由であまり当てになりません。)の範囲に収まります。一応、所在地は埼玉南部。