電子レンジで光速を測ろうとしたけど上手く行かなかったでござるの巻 続き

今北産業

  • 電子レンジで光速を測定できるという話は物凄く疑わしい

あ、一行で終わった。



前回の実験
電子レンジで光速を測ろうとしたけど上手く行かなかったでござるの巻 - ka-ka_xyzの日記 電子レンジで光速を測ろうとしたけど上手く行かなかったでござるの巻 - ka-ka_xyzの日記

の続き。



追記(2015/02/24):

電子レンジで光速なんか測っちゃダメダヨー

ということで、もともとの実験レポのほうでも訂正が出てました。



概要

前回行った実験「電子レンジで光速を測ろうとしたけど上手く行かなかったでござるの巻 - ka-ka_xyzの日記」では熱感応紙を使用して電子レンジの過熱室内で加熱されるスポットを検出し、スポット間の距離が2450MHzの光の半波長(6 cm)の整数倍になるかどうかを確認することを試みた。
しかしながら、得られた結果としては過熱スポットを検出できたものの、スポット間の距離は理論値と一致していなかった。また、電子レンジ加熱室の中央部分で過熱スポットが検出されていなかったが、これは日常的に電子レンジで食品を加熱できているという結果とは矛盾するデータであった。

このようなデータが得られた原因として、電子レンジは水分を過熱するため、熱感応紙上の濡れ方が均一でないと、場所によって検出感度が変化してしまうという理由が考えられる。

今回の実験では、熱感応紙による過熱検出システムを改良することで、電子レンジ加熱室の中央部分に近い場所に過熱スポットを検出することに成功した。しかしながら、過熱スポット間の距離はやはり理論値とは一致しなかった。

また、本実験の結果および先行研究の再調査を行ったところ、過熱スポット間の距離を測定して光速を計測できるという主張は非常に疑わしいと思われる。

まてめそ

前回の実験 電子レンジで光速を測ろうとしたけど上手く行かなかったでござるの巻 - ka-ka_xyzの日記 ど同様である。ただし、熱感応紙の上をサランラップで覆うことで水分の蒸発を防ぎ、検出感度のムラを抑える。
また、熱感応紙を水から取り出した後で適度に水を切る必要がある。

結果

f:id:ka-ka_xyz:20150221232845p:plain
fig. 1 30秒間過熱した熱感応紙1

f:id:ka-ka_xyz:20150221232916p:plain
fig. 2 30秒間過熱した熱感応紙2

f:id:ka-ka_xyz:20150221233916p:plain
fig. 3 30秒間過熱した熱感応紙3

距離の値については、実測した数値を使用し、0.5 cm刻みで丸めた。


f:id:ka-ka_xyz:20150221235745p:plain
fig. 4 測定の例

そのため、画像上の距離との食い違いが生じている可能性がある。

熱陥凹氏の中央部分が電子レンジ加熱室のほぼ中央となるように設置しているが、実験によりバラつきが生じている可能性もある。

また、書く過熱スポットのサイズがより小さいタイミングで過熱を中止する事を試みたが、ほぼ一瞬で上記のサイズまでスポットが広がるため、断念した。

ほぼ同一条件で実験を行っているが、fig. 1の結果と fig.2, fig.3の結果にはかなりの違いが見られる。また、fig. 2, fig. 3についても、過熱スポットのパターンは類似しているものの、各スポット間の距離は理論値(2450MHzの光の半波長である6 cm)やその整数倍の値には当てはまらない。

考察

前回の実験で疑問であった、「加熱室の中央部分に過熱スポットが検出されない」と言う問題は実験手法の改善により解決できた。しかし、やはり各過熱スポット間の距離は理論値(2450MHzの光の半波長である6 cm)とは一致していなかった。この結果は、実験手法の問題では無く、実験の作業仮説そのものに問題がある可能性を示唆している。
そこで改めて先行研究を調査したところ、以下のサイトを見つける事ができた。

MICROWAVE MADNESS(:

このサイトではアクリル板を使用して過熱スポットの検出を行っており、実際に計測された過熱スポット間の距離について度数分布図を示しているが、やはり理論値である 6 cm 付近に度数のピークは認められない*1
今回の実験で得られた結果と一致する訳ではないが、過熱スポットの可視化を行うと整ったパターンとならず、各スポット間の距離もバラつきが出るという点については共通している。


また、以下のサイトでは電子レンジ内の過熱パターンがかなり複雑なものであると述べており、光速度を測定することは現実的ではないと結論付けている。

E&M field in microwave oven: more complicated than you think | Science | WEN'S Horizon

以下、結論を引用する。

VI. Conclusions

E&M field in microwave oven is analyzed. It is not a simple plain wave or a 1D standing wave. Thus the method of measuring speed of light by measuring 6cm apart hot spots does not make sense. Instead, the method by measuring “components” of wavelength is more reasonable. However, it is valid only in the ideal resonant cavity approximation. In a real microwave oven, all sorts of perturbation can fail this method.

適当訳

VI. 結論

電子レンジの電磁フィールドについて解析を行った。これは単純な一次元の定常波では無い。よって、過熱スポット間の距離 6 cm を測定することで光速度を測定するという手法は意味が無い。そのかわり、波長の"コンポーネント"を測定することがより合理的な方法である。しかし、理想的な共振空洞近似にある場合だけで有効である。現実の電子レンジでは、あらゆる種類の摂動によってこの方法は失敗し得るであろう。

このサイトの内容については、正直な所筆者の理解の範囲外である部分が大きい。しかし、電子レンジの電磁フィールドは単純な定常波ではなく、様々な条件により複雑に変化するという主張は、今回の実験結果を見ると妥当であると判断できる。


さらに、もともとこの実験を行うきっかけとなった下記の記事では

チョコレートをレンジでチンして光の速さを計算してみる

ちなみに本実験はターンテーブルつきのレンジだと成立しません。今回はターンテーブルがないタイプのレンジを使いましたが、回転皿つきの機種をお使いの場合は説明書の注意に従って取り外して下さい。

とあるが、ターンテーブルが無い電子レンジでは加熱ムラを避けるために機械的にマイクロ波の照射角を変更するといった機能が組み込まれているようである。

電子レンジのターンテーブル - @nifty教えて広場

一方、現在主流になっている、フラットタイプの物は、アンテナ(マイクロ波を出す部分)を動かす事により、食品を動かさずともムラのない温めをできるように、と開発されたものです。

この背景にはセンサーの進歩も見逃せない要因です。
ターンテーブルタイプの物は、元々は時間を自分で合わせて、食品が温まろうが温まらまいが、時間が来るまで動き続けるものです。
この当時の物は「センサー」等と言う物のは装備されていませんでした。
これが少し進化し、「重量センサー」「湯気センサー」等を装備する事により、レンジが自動的に運転時間を決めてくれるようになりました。
しかし、この「重量センサー」「湯気センサー」では、「重い器(軽い器)に少量(大量)の食品を載せて運転した時」や「湯気の出にくい(出やすい)食品」を調理する際の、温めすぎや、その逆が当たり前のように起こっていました。

そこで、メーカーが開発したのが、「赤外線温度センサー」です。
これは、食品そのものの温度を遠隔から、しかも秒単位で計る事ができるセンサーです。

この遠赤外線温度センサーとアンテナが動く事で、温めムラ、温め過ぎ、温まらない等の不満を解消できるようになり、同時にお好みの温度まで運転する事ができるようになったわけです。

つまり、短時間で見れば定常波により局所的な過熱が行われるものの、過熱スポットは常に移動するため、長時間で均してみれば均一に加熱されるはずである。もちろんQAサイトの記載内容が全て信頼できるかというと疑問ではあるがターンテーブル無しで加熱ムラを防ぐために、このような仕組みが存在していると考えることは妥当であると思われる*2
元の実験での加熱時間(20から30秒)で過熱スポットの移動が起きるかどうかは電子レンジの機種に依存するはずだが、電子レンジ側の機構により過熱スポットが移動する可能性を排除できない。

これらの理由により、電子レンジで光速度を測定するという手法、およびそれにより得られる実験結果については懐疑的に見ざるを得ない。


あらためてまとめ

論文文体に飽きたので元の文体にもどってみます。

色々自分で実験してみた結果として、やはりこの「電子レンジで光速を測定する」っていう話は裏付けの無いインターネットフォークロアっぽい気がします。少なくとも自分が見つけることが出来た肯定的な結果は、全てチョコレートやらマシュマロやらを使った実験で、どうにもこー厳密さに欠けるというかいくらでも結果をチェリーピック出来そうな感じです。
また、もしかしたら電子レンジによっては測定条件次第で過熱スポット間の距離が6 cm程度になるものも有るかもしれませんが、そこからダイレクトに電磁波の波長が6 cmであると言えるかどうかっていうと無理っぽい。
あとは、過熱スポットは点じゃなくてある程度の面積を持ってるので、「スポット間の距離が6 cmで有るべきだ」と予断を持ってたら、予断に合わせて測定してしまう可能性もある。

まあ、他サイトの引用だけで「証明完了、わははははは」とか書くのもあんまし科学的じゃないよなーということで実験を繰り返した次第。



追記(2015/02/24)補足


電子レンジで光速なんか測っちゃダメダヨー

加熱むらが定常波に由来するもので、それが円に沿うならば、その間隔は波長由来でない可能性が高い。マグネトロンからのマイクロ波を伝えるアンテナの挙動に依存するはずです。

なるほどわからん(だって化学工学→生物って経歴だったんで電磁波とか扱うのむりぽ)。
いやー、でも久々の実験は楽しかったなあ。


*1:この点について実験者は、検出手法の問題である可能性があると述べている

*2:ちなみに、本実験はターンテーブル式の電子レンジを使用している。熱感応紙の固定方法については前回の記事を参照

電子レンジで光速を測ろうとしたけど上手く行かなかったでござるの巻

追記:(2014/02/22): 続編書きました。


電子レンジで光速を測ろうとしたけど上手く行かなかったでござるの巻 続き - ka-ka_xyzの日記

続編から読んだほうが良いかも。




追記:(2014/02/24):


電子レンジで光速なんか測っちゃダメダヨー


ということで、もともとの実験レポのほうでも訂正が出てました。



概要

チョコレートをレンジでチンして光の速さを計算してみる チョコレートをレンジでチンして光の速さを計算してみる

とか
電子レンジ+チョコで「光の速度」を確認する実験 « WIRED.jp 電子レンジ+チョコで「光の速度」を確認する実験 « WIRED.jp
とか、バレインタイン時に定期的にネタになる、電子レンジでチョコを溶かして光速度を測定する話について、自分でも実際にやってみようと思った。ただチョコの溶け方を指標とするのはどうも画像としてわかりにくいので、FAXの熱感応紙を使用して加熱される部分の特定を試みた。
しかしながら、実験を行った結果、想定される結果を得ることが出来なかった。後で再現実験を試みる人のために、一応レポートを残しておく。

あ、あと実験の理論的背景については過去の報告( チョコレートをレンジでチンして光の速さを計算してみる )を参照。

まてめそ!*1

電子レンジ

NEC MC-SC1 (96年製)を使用した。周波数は2450MHzであり、過去の報告( チョコレートをレンジでチンして光の速さを計算してみる )と同じである*2

熱感応紙および過熱検出システム

熱感応紙の製造元は不明。洗面台に水を張り、その中に熱感応紙を浸してまんべんなく水になじませた後に余計な水分を落として、プラスチック製のフタ(Microsoft Surface Pro3用タイプカバーの箱を包装していたもの)に貼り付けた。このフタの横幅は上記電子レンジの加熱室の横幅内径とほぼ一致しているため、熱感応紙の回転を抑え、一定の位置を保持することが出来る。また、このフタは下部に折り曲げが入っており、熱感応紙と電子レンジのターンテーブルとが直接接触して電磁波以外の影響で加熱されることを防ぐ役割を果たす。

結果

f:id:ka-ka_xyz:20150215153023p:plain
「レンジ強」で20秒間加熱した熱感応紙

f:id:ka-ka_xyz:20150215153054p:plain
「レンジ強」で40秒間加熱した熱感応紙(20秒過熱のものとは別の熱感応紙を使用している。)


加熱時間を長くすると発火する可能性もあるため、40秒程度で過熱を止めている。
画像を見て分かるように、水に浸した熱感応紙を使用することで加熱される部分(以下、過熱スポット)を可視化することに成功している。各過熱スポットの間隔は約18~19 cm程度と思われるが、家にあるモノサシの測定レンジから外れているため、正確な値を取得することが出来なかった*3

考察

今回実験で使用した電子レンジの周波数は過去の報告( チョコレートをレンジでチンして光の速さを計算してみる )と一致しており、過熱スポットの間隔は6 cm程度となるはずである。しかしながら、実際に得られた過熱スポットの間隔はその数倍となる18 ~ 19 cm程度であった。

過去の実験と異なる結果が得られた原因としては以下の様な理由が考えられる*4

  • 電子レンジが古すぎて周波数が安定してない説
  • もっと加熱したら6 cm間隔のスポットも得られるんじゃないか説
  • どう考えても家の光速度が悪い説

おわりに

96年製ってことはもう20年モノか・・・いーかげん電子レンジ買い換えないとなー。


追記

いやチョコもらってるから。チョコ無いから熱感応紙使った訳じゃ無いから。

追記2

もしかしたら金属製のターンテーブルが何か悪さをしてるのかも・・・と思ってターンテーブルを外した状態で同じ実験をやってみた。

f:id:ka-ka_xyz:20150215234141p:plain
加熱時間は15秒程度。
プラスチックのフタが底面につかないように高さ5cmのダンボール円柱*5で四隅を下から支えた状態で実験しているので、底面からの高さとしては前の実験と同じぐらいのはず。

うーん。過熱スポットの出現パターンが全然違うし、幾何学模様を描く訳でもない。そもそもスポットとスポットの間の距離は8 cm程度でやっぱり理論値とは合わない。実に微妙。あと、そもそも普通に電子レンジとして使用するときは当然ターンテーブルが入った状態で動かすわけで・・・

電子レンジ側に問題があるのか、濡らした熱感応紙を使う方法に問題があるのか、結論としてはよく分からない。均一に加熱されずに局所的に加熱されてるので確かに定常波っぽくはあるけど・・・

*1:Materials and Methods の略。平たく言うと実験の「レシピ」

*2:電子レンジなんで当たり前だけど

*3:というかめんどかった。

*4:もちろん、あんまり根拠は無い。適当である

*5:トレペの芯を半分に切ったもの

Kobo Aura H2Oを使ってみた感想


楽天Kobo電子書籍ストア: 最新機種 電子書籍リーダー Kobo Aura H2O 先行販売

Kobo aura H2Oを買ったので感想を書いてみる。

なぜKobo

もともとKindle paperwhite(初代)を買ってそこそこ満足していたのですが、以下の点からちょっと微妙な感じになっていました。

・書籍スキャンPDFファイル(平たく言うと自炊本)の扱いが不便
Kindle paperwhiteにはSDカードスロットが有りません。そのため、自炊pdfファイルのサイズがpaperwhiteの空き容量(記憶容量は最大2GB)を超える場合の扱いが面倒です。要は朝に外出先で読みたいpdfを選び、kindleから既存のpdfファイルを消して空きを作り、新しいpdfを入れるといった手順が必要になります。凄い手間。

・ソフトウェアアップデート後に不安定に成った気がする
確か2014年夏頃のソフトウェアアップデートにより、スライドバーでページ送りが出来るようになりました。しかし、このアップデートが原因かどうかははっきりしませんが、なんかやたらと読書中にkindleが再起動する現象が多発するようになりました(空き容量が少なくなっていた事も原因かも)。


ということで、電子書籍の購入はこれまでどおりkindleで行うにしても*1、自炊本の閲覧については別の電子書籍端末に移行したいなというのがKobo購入のきっかけ。
microSDカードが使えて、それなりに新し目の機種で、防水機能も付いているということでKobo Aura H2Oを選択しました。

Kobo AuraとKobo Aura H2Oは別物

これ、Kobo Aura H2Oの公式サイト製品紹介であんまり触れられてなかったので自分も戸惑いましたが、Kobo AuraとKobo Aura H2Oは全く別の端末です。買ってから気づいたけど、Kobo Auraに防水機能が付いたのがKobo Aura H2Oだと思ってたのでびっくり。
どれ位別物かっていうとこれぐらい別物。


滴る水もへっちゃらな楽天Koboの「Kobo Aura H2O」を使ってみた - ITmedia eBook USER

いや別物過ぎるだろこれ。もうちょっと名前考えようよ。カバー買う前に気づいて良かったけど。

使う前のあれこれ

64GB microSDについて

公式には32GBまでとなっていますが、64GBのmicroSDカードを挿しても認識しました。ただし、exFAT形式ではなくFAT32形式でフォーマットを行う必要があります。Windowsの標準フォーマッタではSDカードをFAT32でフォーマット出来ないので、フリーウェアで対応する必要があります。
まあ公式で非対応としている以上、ほんとに認識するかどうかは賭になるので注意。

pdfについて

850冊オーバー、最適化*2後のファイルサイズが25GBオーバーぐらいです。多分これ、Kobo Aura H2Oが本来想定しているレベルを超えてると思います。以下に書く使用感は、こういう感じのかなりヘビーな環境上での動作を元にしているので、かなり辛い評価に成ってると思います。あと、98%ぐらいは活字本。コミックはほぼ無し。

使用感(イマイチな点)

データの初回読み込みが遅い

Kobo Aura H2Oは、自分が持っている電子書籍について内部的に何らかの形でメタデータを作成して管理を行っているようです。しかしこの処理が850冊分となるとなかなか終わらない。一時間以上かかったのは確実ですが、翌朝見たら終わってたので実際にかかる時間がどの程度なのかは不明。
いったんメタデータが作成された後は、電源を落として再起動してもそんなに時間をかけずに起動します。

ファイルの読み込みが遅い

ライブラリ画面から目的の書籍を選択して、1ページめが表示されるまでがだいたい20秒程度、そしてページ送りができるようになるまでに更に30~40秒程度かかります。ただ、開こうとしているpdfのファイルサイズや、書籍全体のファイルサイズによってかなり速度が違うようです。数十冊ぐらいしか入れてなければ、もっと速いんじゃ無いかなあ。

ファイルが開けなくなる事がある

読書中にいったんホーム画面へ戻ってから再度同じファイルを開き直そうとすると、最後に開いたページが表示されるのですが、このページから他のページへ移動出来なくなるという現象がたまに発生します。そして画面をあれこれタップしているうちに数十秒後にまたホーム画面へ戻ってしまう。いったんこの現象が発生すると、Kobo Aura H2O上では対応方法が無いっぽいです。母艦PCと接続し、該当ファイルを上書きコピーすることで解決したので、おそらくメタデータが壊れてる可能性が高いと思います。
また、出先でこの現象が発生すると対応できません。読みかけの本が宙ぶらりんのままという最悪な状況に陥ります。
ただこれも、ファイル数がやたら多い事が原因でメタデータ管理に問題が出てる可能性はあります。

ページ送りのタップ操作がスワイプ操作と誤認識される事が多い

Kobo Aura H2Oの便利機能として、画面の拡大機能があります。要は自炊本の余白部分を表示させずにテキスト部分だけを切り取って読むことが可能です*3。これはこれで便利なんですが、一つ問題が。ページ送りのために画面端をタップするとき、少しでも横方向に指が動くと、スワイプ操作と判定されてしまいます。で、画面拡大中にスワイプを行うと、拡大領域の移動とみなされます。ところが、電子インク端末の特性として表示内容を切り替える場合には一旦画面がリフレッシュされ、一秒程度の書き換え待ちが発生します。・・・言葉で説明するのは困難ですが、物凄くストレスフルです。

画面ロック機構が無い

これ、データサイズとかに関係無い不満点ですが、画面ロック機構がデフォルトで用意されていません。kindle paperwhiteだと、スマホの画面ロックのような機能がデフォで入っているのですが、Kobo Aura H2Oでは無理。
一応、Kobo Glo (一世代前)だとユーザ有志が作成したカスタムファームウェアで画面ロック機構が実装されているようですが、多分Kobo Aura H2Oにそのまま入れるのは無理っぽい。

しおり機能が不便

開いているページの右上をタップすることで栞を挟むことができるのですが、本を開いた状態でその栞を挟んだ場所へ戻る事が出来ません。栞の一覧を見るには、一旦ホーム画面へ戻って該当本の「タイル」をタップする必要があります。ところで、ホーム画面のタイルって最近読んだ本しか表示されないですが、ライブラリの一覧画面から該当本の栞一覧画面を開くのはどうするんだろ。UIが無い気がする。

使用感(良かった点)

戦いは数だよ兄貴!

正直な所、上で書いたように全体としてはかなりストレスフルな使用感です・・・が、やっぱり800冊以上の、大きめの本棚2個分ぐらいの本をポケットに入れて持ち運べるというメリットは非常に大きいです。ほんと、kindle paperwhite開いてる時間は大幅に減りました。

・・・いやそんな数の本を扱ってるからストレスフルな動作に成るんだろって気もしますが、数のメリットがなければkindle paperwhiteの方が全般的にソフトウェアもハードウェアも完成度は上だし、Kobo Aura H2Oの出番も無いと思うので悩ましい所。

その他

Koboストア?なにそれ美味しいの?

まとめ

てかAmazonさんkindle voyageとかどうでもいいんで、microSDカード対応を早よ。

いやほんとに、kindle開いてる時間が少ないと、kindleストアで電子本買う衝動はかなり薄れます。山ほど自炊本を持ってる人は、将来的に山ほどkindle本を買う可能性がある読書中毒者です。そういう人向けにmicroSDカード対応のkindle paperwhite上位機種をはよ。voyageみたいな微妙な位置付けのハードは要らないんで。

*1:正直、電子書籍販売業者としての楽天は全く信頼してません。十年後に本を再ダウンロードできる可能性はAmazonの方がどう考えても上でしょう

*2:Kobo Aura H2Oの画面に合わせて画像の大きさを変えたり、グレースケール画像へ変換したり圧縮したりといった処理

*3:最適化処理で余白を切り落とす事も可能ですが、誤認識でテキスト部分も切り落とされる場合が多いので自分は余白の切り落としは行いません

「捏造の科学者 STAP細胞事件」感想 お勧め本

捏造の科学者 STAP細胞事件

捏造の科学者 STAP細胞事件

このままの幕引きは科学ジャーナリズムの敗北だ

「須田さんの場合は絶対に来るべきです」
はじまりは、生命科学の権威、笹井氏からの一通のメールだった。
ノーベル賞を受賞したiPS細胞を超える発見と喧伝する
理研の記者会見に登壇したのは、若き女性科学者、小保方晴子
発見の興奮とフィーバーに酔っていた取材班に、
疑問がひとつまたひとつ増えていく。
「科学史に残るスキャンダルになる」
STAP細胞報道をリードし続けた毎日新聞科学環境部。
その中心となった女性科学記者が、書き下ろす。

誰が、何を、いつ、なぜ、どのように捏造したのか?

「科学史に残るスキャンダル」の深層

オススメオススメ。どれぐらいオススメかって言うとリアルタイムでtweetしたぐらいオススメ。


本書の著者は毎日新聞科学環境部の現役記者であり、普段の業務を通じて事件の中心的な存在だった若山氏・丹波氏・笹井氏との間にメールで連絡をとったり直に会えたりするだけの信頼関係を築いていました。本書ではこのような著者と関係者との直接のやり取りが多く引用されており、新聞記事からはなかなか見えてこない、関係者の熱意や高揚感、焦りや不安といった心の揺れが垣間見えます。
もちろん著者は理研CDB関係者からすればあくまで「外の人」ではあるものの、著者が関係者と事件発生以前からのコネクションを持っていたというのは、他の研究不正ノンフィクションではあまり見ないポイントだと思います。凄い貴重な立場。


で、出だしの頃の笹井氏からのメールはほんとに行間から熱意が伝わってくるような文面で、「大発見」についての興奮が伝わってきますが・・・疑惑の影が深まるにつれて、いつしか「切り込む記者」に対する「守りに入った関係者」って構図になっていく。
この辺は、事件の決着が付いてからの第三者的なまとめでは無く、事件を追う記者としての視点が出てて素晴らしい部分です。五年後十年後に第三者が評論を書けるようになるかもしれないけど、当事者のナマの回想は今このタイミングを逃したら書けない部分も多いでしょうし。



そしてやっぱり気になるのはこの点。若山氏や笹井氏に対してメールで問い合わせたり直に会って取材したりという描写は結構出てきます。でも、事件の中心人物であるはずの小保方氏については、「ナマの」情報が殆ど出て来ない。


一連の事件ではやはり小保方氏が最も重要なキーパーソンなはずです。論文の筆頭著者というだけではなく、学生ではなくプロジェクトリーダーとして独立したPI(研究主催者)な訳で。能力的には本人が認めるように"未熟"であるにせよ、少なくともそういう地位に付いている(厳密に言うとついてた)以上、地位なりの責任は負うべき。
また、指導教官の言われるがままに実験してただけ・・・という立場でもなく、バカンティ氏、若山氏、笹井氏・丹波氏を結びつけるために積極的に働きかけを行っているはずです(そうでないと説明がつかない所が多すぎる)。
そして、今回のSTAP論文の内容は複数分野にまたがる研究であり、各分野で同時に研究が行われていたわけではなく時期的にもズレがあります。それらをコーディネートする立場に居たのは小保方氏です。

・・・なのに、この本では小保方氏への切り込みがほぼ成されていません。若山氏、丹波氏、笹井氏とのやり取りのように血の通ったやり取りも無いですし、彼女のたどった早稲田・ハーバード・理研という経歴で周囲の研究者からの証言を集めたりとかそういう突っ込んだリサーチもありません。

別にゴシップを集めろとかそういう訳ではなく、事件の中心人物であるはずなのに、事件を語る膨大なデータの中でその部分だけがぽっかり抜けているのです。まるでドーナツの穴のように。




この辺、「再現実験」が始まってから一喜一憂する様子(あるいは、理研CDB内部で士気が低下し、この手の噂が駄々漏れになっている様子)が出てて興味深い所。「予算獲得のために組織ぐるみで詐欺を行った」的な陰謀論もありますが、初手から計算された陰謀だったらここまでグダグダには成んないだろうと。


この辺はドン引き。少なくとも、指摘がもっともなものなのか難癖付けられてるのかっていうのは普通であれば目を通して確認するはず。意識してか無意識かはともかく、外部の人を言いくるめようとしていると取られても仕方ない気が。

STAP論文の発表直前に笹井氏が小保方氏を連れて首相官房を訪れ、研究の概要を説明した(p350)との記述もあったりと、政治側に過剰な期待を持たせるような動きについても触れられています。このへんが捏造疑惑に対する理研の腰の重さに繋がりそうではあるけど、この本のスコープからは外れるかなとは思う。

続編が書かれるとしたら

  • 2014年12月以降の展開について
  • STAP事件で小保方氏が果たした役割について
  • 理研CDBだけではなく東京女子医大やハーバードまで含めた取材

といった内容は入れるべきだと思います。その上で日本の科学行政全般が抱える問題や、相次ぐ研究不正への対策といった内容を上手く書いてくれれば良いなあと(勝手にですが)期待してます。

あ、あともう一つ。研究費を引っ張ってくる上での諸々や、STAP関連に費やされた研究費の使途についても。この辺は大手マスコミがやらないと、週刊誌主導で報道が進むとこっちの本のように「魑魅魍魎が跋扈する再生医療業界」なイメージがつきかねませんし。
まあ、自分はもう生物系研究業界とは全く縁が無いのでそういうイメージが付こうが付くまいが短期的には全く困りませんが、40~50年後の生存確率に関わってきそうだし面白い研究の種が消えてしまう可能性も有るのでやっぱ困る。

「リスクにあなたは騙される」をダシにして何か語る

リスクにあなたは騙される (数理を愉しむ)

リスクにあなたは騙される (数理を愉しむ)

まずは本題に入る前に一つテスト。この記事を読んでどう思う?

福島の甲状腺がんは原発事故原因が決定的に(団藤 保晴) - 個人 - Yahoo!ニュース 福島の甲状腺がんは原発事故原因が決定的に(団藤 保晴) - 個人 - Yahoo!ニュース


「この論理展開すごい変じゃね?この記事に書かれてるデータだけでは"福島の甲状腺がん原発事故原因が決定的に"って話にはならないよね」と思った(ひねくれた)人はこの本を読む必要はあんまり無い・・・かというとそうでもなくて、北米でもこの手の記事がありふれてるって具体例が色々出てくるので読んで損は無いと思う。

逆に素直に「記事の書き手は良心的だし、調査報告に基づいた数字を出してるし、特に問題は無い気がする」と思った人はこの本を是非読んだ方が良い。損はしないはず。

続きを読む

「STAP細胞に群がった悪いヤツら 」感想(あんまりお勧めできないけど目を通して良いと思う)

私が気になっている科学系の新刊書籍(教科書ではない) - アレ待チろまん 私が気になっている科学系の新刊書籍(教科書ではない) - アレ待チろまん

でスルーされてた方のSTAP本。

STAP細胞に群がった悪いヤツら

STAP細胞に群がった悪いヤツら

いわゆる「科学コミュニティ」とか「科学クラスタ」の外からSTAP細胞騒動についてどう見えてるのかについて興味を持ったので購入。

まずは良かった点。

なんのかんの言って関係する人物相関図や騒動に至るまでの顛末についてはよくまとまってる。また、市川家國教授(理研「研究不正再発防止のための改革委員会」委員)や八代嘉美准教授(京都大学iPS細胞研究所)といった関係者への独自取材も結構ある。


じゃあ良い本なのかというとちょっとというかかなり微妙で、大雑把に言って

  • STAP論文そのものの捏造疑惑についての追求(この点は結構良くまとまってる。数ページにわたって延々とオボポエム*1文体が続いたりして辟易するけど。)
  • セルシード社によるインサイダー取引疑惑についての追求
  • 再生医療について巨大な「産官学利権構造」が成立しているという話についての追求

といった記事をまとめた本なのですが、それぞれのテーマについて相互に噛み合っていない印象。

例えばインサイダー取引疑惑が事実だとしたらそれはそれで大問題ではあるんですが、でもSTAP論文の捏造疑惑とはあまり絡まない(仮に内容的に一点の曇りも無い論文だったとしても、インサイダー取引疑惑が問題で有ることには変わり無い)。
再生医療の利権構造についても同様です。この本にあるような数十億円規模の大規模利権構造が成立していたとしたら、根拠の薄いSTAP論文をネタにして世間の注目を浴びる大規模PRを打つような賭けをするよりも、あんまり目立たない程度に利権構造に浸かってた方が合理的なはず。

今回の件では、純粋な科学研究の側から見ても本書の言う「利権構造」側から見ても、(小保方氏だけではなく)理研CDB関係者の不合理な行動が目立ちますが、なぜこんな不合理な行動を取っているのか、あるいは取らざるを得ないのかについての説明なり追求なりは成されていません。
てかそれぞれのテーマについて独立して結論らしきものが出てるのですが、一つの本として通して読んだ場合、ラストは一見綺麗に締めてるけどよく考えたらそれぞれのストーリーが全然まとまって無いじゃないかっていう印象が残ります。


あと、匿名の「幹細胞研究者」による

「(略)バイオ分野は小保方論文と同じく再現できない論文が多く、米国政府は今春、不採算分野と断じてバイオ関係の研究費を廃止しました。このため米国では研究所が次々閉鎖しています。(後略)」

みたいな、「それどこ情報ー?どこ情報よー?」とドヤ顔で突っ込みたくなる証言も。
こういう「匿名関係者」とか「消息筋」の使い方って信頼性を思いっきり下げるからやめた方が良いと思うんだけどなー。

とはいえ、理系クラスタなり研究者コミュニティの人は目を通しとくべきじゃないかと思う

いや、理系クラスタなり研究者コミュニティの人はこの本読んで「はいはいワロスワロス」的な感想持つと想うんですよ。特に産官学利権構造とかの辺り。
本書によると再生医療研究ってのは、官僚が旗を振り、研究機関のトップ研究者がほしいままに研究資金を分配し、その資金に山師的なバイオベンチャーが群がってWin-Win-Winな関係を築いてるという山吹色のお菓子が乱れ飛ぶステキ業界らしいですよ奥さん。さあ!そこのうだつの上がらない生物系ポスドクもバイオベンチャーで一旗揚げようず!(死亡フラグ)。

いやまあ、確かに再生医療研究ってそこそこ大きな予算が付いて、かつ山師多めな印象はあり、またこれまでも度々問題視されてきていましたが(この辺は別に日本だけに限らず、今回の件で言うとバカンティとか)、理系クラスタなり研究者コミュニティの視点だとこういうどぎついイメージって出て来ないと思うんですよね。

ただ、このようなどぎついイメージがウケる界隈ってのはあり、いったんそういうイメージが社会的に定着してしまうと、科学研究が一昔前のゼネコン業界のように社会的・政治的なスケープゴートとしてフルボッコになる可能性も無い訳ではない。そう考えると「はいはいワロスワロス」で済ませるのは危険だと思うし、この本に目を通しておくべきだと思う。お勧めしないけど。



2014/12/21追記
本書が「陰謀論」の本かというとちょっと違ってて、陰謀論というか科学や技術を専門で追っかけてる訳ではないライターが「再生医療業界の闇を暴く」というフレームでSTAP騒動を追ってみたという感じ。科学ライター系の人が書く記事とは根本でフレームがずれてる。例えば臨床系研究者を持ち上げて基礎系・工学系研究者をDisったりするような、「素晴らしい人・叩くべき人」って感じの表現で読者を煽る技巧が散りばめられていたりとか。
例としてp140-141

今回、STAP事件に連座する人々、岡野、大和、若山はたとえ大学教授であっても「医学博士」ではない。理工系、もしくは工学系だ。笹井と丹波、小島は医学博士であっても山中や高橋とは異なり臨床医出身ではない「生物学の一研究者」なのである。本来、彼らは地味な研究職に従事する人々だ。誰一人、巨額な予算を引っ張ってきたり、ベンチャー企業の役員に収まったりするような柄ではない

すげー。科学ライター系の人には絶対書けない文章だよねこれ。凄いけどしびれないし憧れないけど。
でもやっぱ、「科学クラスタ」の外では(ストレートに表現する人は少ないと思うけど)こういう視点持ってる人は多いと思う。

あと、笹井氏の評価を巡る内容についても書かれているけど、故人の評価について現時点で触れるのは抵抗があるので上のポストでは触れてません。


*1:2ch生物板で流れていた怪情報。STAP論文が本格的に炎上する前から投稿されている点や踏み込んだ内容から関係者によるものでは無いかとの噂も・・・ まとめは http://www.poverty.jeez.jp/ura/img/kenmou01241.txt で読める

施川 ユウキ「バーナード嬢曰く。 」感想

Kindle版が出てたのに気づいて購入。
どういう漫画かというと、だいたいこんな感じ(公式Tweetから)


本読むのが苦手だけど読書家ぶるために努力を重ねる町田さわ子(自称、バーナード嬢)、めんどくさいSF小説ファン(「めんどくさいSF小説」のファンじゃなくてめんどくさい「SF小説ファン」)神林しおり、そしてブームが過ぎたベストセラー本を読むのが趣味の遠藤、といった素直じゃない面子が図書室を舞台にうだうだと過ごす日常系?コミック。
本好きあるあるネタの宝庫というか、特に神林さん(上のTweetで秘孔突かれてる人)が他人とは思えないというかお前は俺かと言いたくなるぐらい「めんどくさいSF小説ファン」でお勧め。


あ、でもちょっと思ったのが、ハインライン夏への扉」をストレートに薦めてるところは「めんどくさいSF小説ファン」として世代の差(あるいは環境の差)を感じた。

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))

自分が自覚的にSF者になったのは中学時代で90年代前半だったけど、ちょうどこの頃は夏への扉が絶版状態で、かといって高校の図書室には入ってないし古書を漁るにしても今みたいにネット通販で買えるワケもなく、県庁所在地の古書店に行ってもSFなんてそうそう置いてるワケもなく。

なのにSFMのオールタイムベストやハヤカワの「SFハンドブック」で一位だわで、いやそりゃ図書館充実してる地方都市とかに住んでいれば読めるし、首都圏に住んでれば神保町で簡単に入手できるだろうけど、九州の片田舎で中学生の行動半径を考えると入手は絶望的なんだよな。

SFハンドブック (ハヤカワ文庫SF)

SFハンドブック (ハヤカワ文庫SF)

そうそう「SFハンドブック」と言えば、取り上げられてた本の半分以上は当時絶版だった記憶があって、ハンドブックで推薦するんならその前に復刊しやがれぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬちゃんと商売しろハヤカワ!・・・ゼェハァ・・・・・・お見苦しい所をお見せしました、今しばらくお待ちください。


とまあ、そういうコンプレックスがあって未だに「夏への扉」読んでないんだけど、SF読みたいって人へ素直に「夏への扉」を薦めれるような大人に成りたかった。

まあ何が言いたいかというと、俺ってほんと「めんどくさいSF小説ファン」だなあと再認識させてくれた本。めんどくさい人へお勧め。