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軍事研究 2010年6月号

読書

軍事研究 2010年 06月号 [雑誌]

軍事研究 2010年 06月号 [雑誌]

今月号の見所記事は「アフガン作戦を支えるGPS地上局の全貌」
この記事は、ミリヲタなひとよりもむしろミリタリーにまったく興味のない人にお勧め。
GPSは携帯電話の位置確認からカーナビや飛行機の航法まで、これ無しでは社会が回らなくなるぐらいの大事なインフラだけど、運営管理に米軍が深くかかわっていることは日常生活ではあまり意識されて無いっぽい。この記事では、衛星のトラブルシュートや基地局の運営体制について、短いながらかなりよくまとめて紹介されている。また、今後のGPS地上局の増強や「脱」GPS構想などについても触れられている。
それにしても、アメリカの政府・軍・民間企業はGPSだけではなく、安全保障、インターネット、IT、科学研究等々の「すべての参加者にとって便利な枠組み」を作るのが得意だ。参加者がワールドワイドで増えることで、枠組みが産業基盤となり、枠組みを作った側の立場が絶対的に強くなる。(インターネットでも同じで、たとえば「何で"www.navy.mil"が米国海軍のドメインなんだよ!本来なら"www,navy.us.mil"であるべきだろうが!」とか言っても、枠組みを作ったのが米国だから仕方が無い。また、世界規模のIT企業がほとんど米国産であることも同様)
一方で、日本や欧州・中国は「我々身内にとって便利な枠組み」で留まってしまう傾向がある。まあ、枠組み作るにも膨大な投資が必要だし、「すべての参加者にとって便利な枠組み」なんて作ったらコストを短期間で回収できなくなるけど。「すべての参加者にとって便利な枠組み」って、要は「フリーライダー大歓迎!」ってことなんで。

もちろん、一方では危うさも有る。たとえばこの記事ではアフガン作戦のために衛星の軌道を変更したことが述べられているけど(見通しの悪い山岳地帯ではGPS精度が大幅に悪化するため)、つまりはGPSという世界規模でのインフラが、米軍の都合だけで左右されうるものであるという事でも有る。もちろん、一般のGPS利用に影響が出ないことを十分考慮した上での決定では有るが。

まあ、何のかんの言って、米軍以外の軍ががもし世界で初めてGPSっぽい測位システムを開発したとしたら、民間に開放とかするわけ無いよなあ。(そんな自らの絶対的優位を明け渡すようなことは、漏れが責任者だったら間違いなく反対するだろう)

と、いろいろと考えてしまう記事。お勧めです。