「文化の世界的戦略とは −初音ミク改称の薦め−」について今更なツッコミ

日本文化の世界的戦略とは −初音ミク改称の薦め− | 国際関係学逍遥 日本文化の世界的戦略とは −初音ミク改称の薦め− | 国際関係学逍遥

何というか、余りの感覚のズレっぷりに脱力したのでネタにマジレスしてみる。(散々語り尽くされたことしか書けない気がするけれど)

結局のところ「初音ミク」が(今のところまだ)一部の界隈で特別なモノとして扱われているのは、CGMの錦の御旗というか農民一揆のムシロ旗的な「象徴」だからであり、キャラクターとしての「初音ミク」の権利者であるクリプトン社がソフトとパッケージ絵と必要最低限のプロフィール情報だけを設定して「後はお前らが勝手に作れ」と"お題"を投げたら、お祭り好きがコンテンツを作りまくって気がついたら万単位のコンテンツが生成されて、"お題"を軸にコンテンツがコンテンツを生むCGM生態系っていうか永久機関状態になってるところが面白さのキモな訳で。

仮に(ほぼあり得ないとは言え)クリプトン社が
『コンテンツ輸出のための戦略として、明日から「初音ミク」を「ミシェル」に改名します。どうかよろしく』
とか言い出したとしても、良くてもユーザーから無視されてなし崩し的に元の名前に戻るか、あるいは最悪の場合には「軸を失ったCGM生態系が消失し、残ったのは神秘性を失ったツインテールのキャラ絵のみ」ということにも成りかねない。
キャラクターもコンテンツもすべて権利者側が提供するというモデルであるならば海外向けに改名っていうことも可能かもしれないけれど、CGMの象徴である「初音ミク」でそれをやろうとすると、戦略とかどうこう言う以前に商品価値が無くなる危険性があるということ。

いやまあ「CGMの象徴としての初音ミク」論なんて4年も前の時点で下記の記事でも既にまとめられている話であって、何を今更っていう気もするけど。

4Gamer.net ― 「初音ミク」や「Perfume」はなぜブレイクしたのか。UCCやCGMについて語られた「OGCシンポジウム」 4Gamer.net ― 「初音ミク」や「Perfume」はなぜブレイクしたのか。UCCやCGMについて語られた「OGCシンポジウム」

この辺の事情について言及せずにいきなり「改名」とか言われてもネタですかとしか言い様が無い。


いや本当はもっと「世界性」=「欧米性」という構図が何の保留条件もなく明白なものとして語られている部分とかいろいろと突っ込みたい部分はあるけど、本論とはまた別の話なのでパス。