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宇宙戦闘モノSFの分類

雑記 読書

宇宙戦争を予想する | スラッシュドット・ジャパン サイエンス 宇宙戦争を予想する | スラッシュドット・ジャパン サイエンス

この辺の話を読んで、個人的に印象に残っている宇宙戦闘を描いたSF小説を並べてみます。戦闘の規模(∝技術レベルや利用可能なエネルギー量)でざっくり分類。

地球低軌道〜地球近傍での戦闘

化学推進ロケットやマスドライバ等、現用技術プラスαで何とか成りそうな技術レベルです。

軌道傭兵(オービット・コマンド)〈1〉衛星基地撃破 (C・NOVELS)

軌道傭兵(オービット・コマンド)〈1〉衛星基地撃破 (C・NOVELS)


谷甲州 「軌道傭兵」シリーズ。

電子書籍版の方が入手が容易かも。
honto電子書籍ストア - 軌道傭兵/谷甲州 (著) - 電子書籍

IISやシャトル後継機(今となってはもう・・・)を舞台とした軌道テロ等、リアルかつ地味な宇宙戦闘を扱います。やたら無茶する某登場人物はその後「覇者の戦塵」シリーズのレギュラー(というかジョーカー)登場人物となったり。


永劫〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

永劫〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)


グレッグ・ベア 「永劫」(上)
ソ連軍宇宙強襲機兵(!)が真空対応AK自動小銃(!)を手に、NATO軍により不当に占拠された小惑星植民地へ強襲揚陸!もちろんソ連軍名物政治将校も漏れ無く付いてくる!!ウラー!!!
という話では無いけど、上巻だけ見れば大体合ってる。ベアって実はこういう萌える設定を書ける人なんだよなあ。


ルナ・シューター〈1〉 (幻狼ファンタジアノベルス)

ルナ・シューター〈1〉 (幻狼ファンタジアノベルス)


林譲治 「ルナ・シューター」
現代技術で月面戦闘をやったらどのような形となるのか・・・という小説。正直なところストーリー的には余り評価できない部分が多々有りますが(特に最終巻の展開はちょっとなあ)、月面という極限環境での戦闘形態をトコトン突き詰めたという点では一読の価値アリ。


月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)


ハインライン 「月は無慈悲な夜の女王
「高地を占める(重力ポテンシャル的に上の方に居る)」ことの絶対的優位性を描いた小説。窓から缶を投げつけろ!


降伏の儀式〈上〉 (創元推理文庫)

降伏の儀式〈上〉 (創元推理文庫)


降伏の儀式〈下〉 (創元推理文庫)

降伏の儀式〈下〉 (創元推理文庫)


ニーヴン&パーネル 「降伏の儀式

「圧倒的技術力を持つ宇宙人がいきなり攻めてくる」というベタなシチュエーションを、ラリー・ボンド&トム・クランシー「レッドストーム・ライジング」ばりのポリティカル・ミリタリーフィクション風味に描くという怪作。(考えてみると、このパターンの元祖であるH・G・ウエルズの「宇宙戦争」も結構軍事色が強いな)
オリオン計画(核爆弾を利用した核パルス推進)をベースにした突貫工事宇宙戦艦「大天使」がアメリカを救うぜ!ついでにスペースシャトルカミカゼだ!

太陽系内での戦闘

核融合エンジン等を利用し、数〜数百Km/秒ぐらいの速度を積み上げることが可能という技術レベルです。

仮装巡洋艦バシリスク (ハヤカワ文庫 JA (200))

仮装巡洋艦バシリスク (ハヤカワ文庫 JA (200))


谷甲州 「航空宇宙軍史」シリーズ。

こちらも電子書籍版のほうが入手が容易かも
honto電子書籍ストア - 航空宇宙軍史/谷甲州 著 中公文庫 - 電子書籍

「航空宇宙軍史」シリーズは数万年単位の未来史構想に基づくものですが、その中でも特に太陽系内での戦争を扱う「外惑星動乱」編が有名です。ニュートン力学が通用する速度での宇宙戦闘描写は、国内外問わず宇宙戦闘モノの最高傑作といって良いかと。「リアルな」宇宙戦闘を語る上で必読。


天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)

天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)


小川一水 「天冥の標 3 アウレーリア一統」

スケールの大きさでは「航空宇宙軍史」シリーズを凌ぐ「天冥の標」シリーズ。三巻では掟破りの「宇宙船による接舷戦闘」を描いています。こういう無茶をリアルっぽく書けてしまうというのは流石。

恒星間(ワープ無し)

星間水素を使用したラムスクープエンジンなどを利用し、相対論的速度まで加速できる技術レベルです。この辺に成ると、恒星間空間で会敵する事自体が難しくなってきます。

キャッチワールド (ハヤカワ文庫 SF 431)

キャッチワールド (ハヤカワ文庫 SF 431)


クリス・ボイス 「キャッチワールド」

宇宙戦闘とファーストコンタクトと黒魔術とサイバーパンクをごった煮にして発酵させたような怪作。相対論的な速度差での戦闘描写は流石。

恒星間(制約条件付きワープ)での戦闘

特定の点と点の間だけでしかワープできないなど、制約条件の強い恒星間ワープ航法を利用可能な技術レベルです。ワープ以外の部分については現在技術の延長である場合が多い気がします。

終りなき戦い (ハヤカワ文庫 SF (634))

終りなき戦い (ハヤカワ文庫 SF (634))


ホールドマン 「終りなき戦い」

コラプサー縮退星)ジャンプという技術により、縮退星間で主観時間ほぼ0(ただし客観時間は数十〜数千年)で行き来できるように成ったという設定が使用されています。
コラプサージャンプによる主観時間の差が、前線の兵士と後方の社会との心理的距離感とシンクロする形で描かれています。星間ベトナム戦争SF。


アンタレスの夜明け (ハヤカワ文庫SF)

アンタレスの夜明け (ハヤカワ文庫SF)


アンタレス突破 (ハヤカワ文庫SF)

アンタレス突破 (ハヤカワ文庫SF)


マイクル・マッコーラム 「アンタレスの夜明け」「アンタレス突破」

星系内の特定の宙域で発生する「フォールドポイント」を使用し、特定の別星系へポイントツーポイントの星間ワープを行うという設定です。特定のポイントでのみジャンプが可能であるため、守る側としてはその周辺に徹底的に防御を固める事が可能であり、攻める側としては大出血を覚悟する必要があります。また、フォールドポイントが集中する星系は交通路のハブとなるため、戦略上の重要拠点(あるいは弱点)となります。
こういう設定が上手いことミリタリーフィクション的な面白さと融合しているのがこの作品の特徴です。



佐藤大輔 「地球連邦の興亡」

「アンタレスの夜明け」と同じく、ポイントツーポイントで接続される星間ワープ設定を上手く使った作品・・・と言いたいところですが未完なんで評価しづらいです。もう続刊は諦めました。

恒星間(無制限ワープ)での戦闘

ほぼどこでもワープし放題という技術レベルです。スター・トレックスターウォーズなど、映像作品で印象に残っている作品は多いのですが、小説と成るとあまり印象に残る作品がありません。田中芳樹銀河英雄伝説」は素晴らしい作品ですが、"宇宙戦闘SF"としては・・・・SF的設定なんて気にしないで読むのが正しい読み方かと。

自由すぎて、SF的・ミリタリー的な説得力をもたせるのが難しいのかもしれません。