小川一水「天冥の標6 宿怨 PART 2」感想

天冥の標6 宿怨 PART 2 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標6 宿怨 PART 2 (ハヤカワ文庫JA)

太陽系世界の均一化をめざすロイズ非分極保険社団に対して、
《救世群(プラクティス)》副議長ロサリオ・クルメーロは、同胞に硬殻化を施して強硬路線を推し進める。
その背後には密かに太陽系を訪れていた《穏健な者(カルミアン)》の強大なテクノロジーの恩恵があった。
いっぽうセレス・シティの少年アイネイアは、人類初の恒星船ジニ号の乗組員に選ばれ、3年後の出航を前に訓練の日々を送っていたが……
すべての因果が悲劇を生む第6巻第2弾

小川一水のドス黒さが炸裂した傑作。
なんというか、この巻の特徴は絶望的なまでのディスコミュニケーションだろうと思います。言葉こそ通じるものの考え方の前提条件が絶望的なまでに異なる故に、身内から見れば「当たり前」のことが他者から見たら真性キティにしか見えないという・・・それにしても戦争に勝っても統治する気が全く無い「救世群」にせよ、ついに最強の切り札を切ってきたロイズにせよ、戦後処理どうする気なんだろ。