『アポカリプスホテル』感想 完走時点

以下ネタバレあり。

      • -


最終話の感想ですが、自分はこの結末を、いわゆる「父殺し」として受け取りました。無条件に崇めていた存在に対して、対等な立場に立つときがやってきたという点で。

アポカリプスホテル 第12話 lemino.docomo.ne.jp/contents/Y3J... (生年月と郵便番号ぐらいの個人情報しか渡さずに登録できるので、最新話早くみたい人はleminoで) ネタバレ抜き感想としては うぁああああああ!!!!FSFSFSFSFSFSFSFSSFSFSFFFSSFSFSFSFSFSFSFSFSFSFSFSFFSFSSSSSSSFSFSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSFSFSFSF!!!!!! って感じだった。色んな意味で美しい結末。

(@ka-ka-xyz.bsky.social) 2025-06-25T00:43:45.740Z
bsky.app

SFの魅力(の一つ)として、「"人類とは"みたいな大スケールの物語と、個人レベルの小さな(しかしかけがえの無い)物語を描く」というのがあって。『アポカリプスホテル』は、12話かけてそのツボを丹念に美しく(そしてとてもアクの強いギャグを散りばめて)描いた作品だった。 オリジナルなのでどうしても「最後の最後で肩透かしを食らうのではないか」と思っていたけれど、ツボを射抜かれてとても満足。

(@ka-ka-xyz.bsky.social) 2025-06-25T00:52:06.637Z
bsky.app

ヤチヨさんにとっての人類が「ひたすら崇める存在」から、最後にああいう叫びをぶつけることが出来る相手になったの、本当に良いよね…… #アポカリプスホテル

(@ka-ka-xyz.bsky.social) 2025-06-25T01:27:44.245Z
bsky.app


永の年月を経ることで、銀河楼という存在は「保存すべき(変えるべきではない)人類の遺産」から「地球の文化と異星の文化が入り混じった存在」となりました。基本原則だった「銀河楼十則」すら、タヌキ星人要素の入った「銀河楼十二則」となっています。

ロボットたちにとっても"人類"は「特別な、ひたすら無条件に崇め従う存在」から、最後にああいう叫びをぶつけることが出来る対等な相手になりました。そしてあのラストの叫び。人類に作られた被造物が自立した時の「独立宣言」として、個人的には『戦闘妖精・雪風』ラストの帰投予定時刻メッセージとタメを張れるぐらいに良い。痺れる。

うーん、ここまで書いたけど、物語としての『アポカリプスホテル』の魅力についてはあんまり伝わらないなあ。良い作品なのだけれど、その「良さ」の核心を上手いこと言葉にできない。

6/30追記: うーん。例えて言うなら、12連串団子みたいなのを考えよう。三色団子、みたらし、あんこ、きなこ、よもぎ、ずんだ、つみれ、マシュマロ、トリュフチョコ、いちご大福……みたいなバラエティに富んだ(富みすぎている)もの。これが週一で一個一個出されて「上手いけどその食べ合わせはいかれてる」「この順序は変化球過ぎる……」「どう見てもそれ団子じゃないでしょ」な感じで突っ込みながらも旨い旨いともぐもぐして。で、モグってるうちにそれらの団子を貫く一つの串が、とても美しいものとしてたち現れてくるような、そういう視聴体験の良さがある。



過去の『アポカリプスホテル』感想エントリ

ka-ka-xyz.hatenablog.com

ka-ka-xyz.hatenablog.com

『アポカリプスホテル』感想(第10話時点)

久々に長文で書き残したいなと思ったので書く。

公式サイト
apocalypse-hotel.jp


正直なところ、事前には全然ノーチェックでした。XかBlueskyで流れて来た第3話の感想が面白そうだったので見たのが初コンタクト。
ストーリーとしては、第3話時点だとだいたいこういう感じ。

『アポカリプスホテル』、最終的にどう転ぶかはわからないけど、今のとことても良いね。 正体不明の疫病で人類が地球上から姿を消してはや百年。ホテル「銀河楼」のロボットスタッフ達は、人類が「お客様」として再び帰ってくるその日を夢見て、今日もまた誰も来るはずのないホテルを運営するのであった……というしっとり設定からドタバタコンタクトSFが始まる。 この先どう転ぶかはまあわからないけど、少なくとも現時点ではSF濃度的は今季一じゃないかな。

(@ka-ka-xyz.bsky.social) 2025-04-27T05:14:12.303Z
bsky.app

これまですべての回でフリーダムかつ方向性が全部ぶっ飛んでいる作風でしたが、一方ではなんというか「ヒトが去った後、ヒトが残した遺産とどう向き合うか」という物語の縦糸が結構強固に描かれてると思うのですね。

ということで、以下はこの視点で見たネタバレあり感想(読む人は登場人物の名前や関係性、各話の展開を把握している前提とします)。いやまあ第11, 12話で感想が完全にひっくり返される可能性も高いですが、自分にはこの時点でこういう光景が見えていたというメモ。

続きを読む

ViXion01使用レビュー

去年の夏頃にクラファンし、到着は1/17。一ヶ月ぐらいちょくちょく触っていたので使用感をまとめます。

まとめ

  • 視力補正は動いている(感動的)
  • でも視野は狭い
  • 現状だと実用性よりも将来性や新しい体験を求める人向け
  • 次世代機に期待

そもそもViXion01とは

vixion.jp

“見える”を引き出す、取り戻す。
自動でピントを調節するオートフォーカスアイウェア
眼の酷使や加齢にともなう⾒え⽅の課題解決をサポートします。

眼鏡と違い、対象物との距離を測定して動的に視力補正を行うデバイスです。
一応

※本製品は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び
安全性の確保等に関する法律における医療機器ではありません。

という点は認識した上で使用してください。また、下記ページの禁止事項や注意事項も把握してください。

vixion.jp

自分の視力について

両目ともに視力0.1以下の近視+乱視。老眼は来てない状態です。日常生活で常時眼鏡装着。
Vixion01は乱視の補正は出来ないので、乱視が使用感を低くする方向に影響している可能性があります。また、動作原理として「近視+老眼」の組み合わせでも上手く補正できるはずですが、試すことが出来ていません。

見え方について

ViXion01を触ったことが無い人向けの説明として。
とりあえず、「指メガネ」を作りましょう。


画像はMS Copilotで生成。

で、指メガネを目から数センチ離して見てください。視野の中にぼんやりした輪っかが浮かんで見える状態になると思います。Vision01を装着したときの視野は基本これです。「視野の周辺にぼんやりした輪っかが浮かんで見えていて、その輪っかの内側部分だけはっきりと見える」状態。

おそらく、将来的にはレンズのサイズが大きくなり、「輪っか」は見えなくなっていくのだろうなと思いますが、現行のVixion01では使用中の視野には常に「輪っか」がついて回ります。

そのうえで、視力補正そのものはかなり良い感じ。対象との距離に合わせて自然にフォーカスを当ててくれる様子を体験すると結構感動的です。また、フォーカスを変える際の時間差や動作音もほぼ気になりません。遠くを見ているときにいきなり測距部に手のひらを当てるようなことをすれば流石にフォーカスが「動いている」様子がわかりますが、逆にそういうことをしなければ「動いている」事自体が意識出来ないレベル。

読書向けとしてどうか?

ViXion01はレンズ部が目の真正面に来るように左右位置調整を行う必要がありますが、近くを見るときには寄り目がちになるので位置調整をやり直す必要があります(「輪っか」が二重に見えてくる)。

うーん。読書用には微妙な感じがあるな。
視野が狭いことに加えて、レンズの左右位置調整は1m先を見て行うのだけれど、本を読むときには距離が20cmぐらいになるので、ちょっとより目になるのだな。
なので左右位置調整をやり直す必要がある。

使えなくはないもののメガネに対する優位点は微妙という印象です。

PC作業用としてどうか?

裸眼だとほぼ見ることが無理なPCディスプレイでもViXion01を使えばはっきりと見えます。
ただ、視野の広さに問題あり



50cmぐらいの距離を置いて24インチのディスプレイ(幅53cm、高さ30cm)をみた時、カバーされる領域はだいたい

  • 縦は100%
  • 横は60%

ぐらい。カバーされない領域を見る時には首を動かさないといけない。

ディスプレイが「輪っか」内の視力補正されている領域に収まらないため、頻繁に視線を動かす必要があります。で、眼球だけを動かすと「輪っか」から視線が外れるので、頭全体を動かす必要あり。

確かに視力補正は上手く動いているものの、「メガネの代わり」としては厳しいという感じです。ただし、将来的に「輪っか」がより大きくなった製品が出るとしたら、メガネ以上に使えそうな感触はあります。

もしかしたら疲れ目になりにくい可能性はありますが、それよりも「視野の中につねに輪っかが浮いている」状態のストレスのほうが強いです。一時間ぐらいで装着限界。

細かな作業等はどう?

遠視や老眼持ちであればこのあたりを評価できそうですが、現状だとなんとも言えません(あと、模型等の趣味も持っていないので)。ただ、ルーペとかを使ったほうが楽なのではないかなという気はします。

結論

初日の第一印象通り、「動的な視力補正技術という将来性への投資」あるいは「動的な視力補正技術への体験料金」という面でクラファン分の代金は十分回収できていると思います。

一方で、室内での利用だけに限定したとしても、眼鏡の代替としては現状は不十分だと思います。なので、「メガネやコンタクトレンズと比較した場合のコスパ」的なモノを求めるならば、おすすめしません。

とはいえ、視野の狭さ(というか「輪っか」問題)が解決した次世代機が出るとしたら、完全代替えは無理としても、視力補正の新しい選択肢としてとても良いものになると思います。ということで次世代機開発計画を早く出して欲しい……

水冷服を使って一ヶ月ぐらい経ったのでレビュー

まとめ

  • 脇の下を冷やそう(個人差はあるかも)
  • うまくハマる用途とハマらなさそうな用途はある
  • 今はまだ洗練されていないガジェットではある(けど今必要)

買った製品

山真製鋸 アイスマンベスト PRO 2023

yamashinseikyo.com

ワークマンの水冷服も「話題のアイスマンインナーベストPRO! ついにワークマンとコラボ!」とあるのでコレと同等品なはずです。

workman.jp

冷却効果はどんな感じか?

日陰や室内だとかなり涼しく感じます。一方、三十℃台後半直射日光下のような環境だとあまり涼しい感じはしません。「涼しい」ではなく「活動限界を伸ばす」的な印象で、「野外エアコン」的な効果を期待している人は失望するかなと。とはいえ汗の出方はだいぶ抑えられます。

また、これは個人差があるかもしれませんが、通常の装着方法だと背中と胸が局所的に冷えるだけで全身が冷えてこないのですね。特に頭部がしんどい。「体は冷えているけれど頭部が熱々」状態になります。
対応策としては、デフォルトの装着方法とは別にマニュアルに書かれている「腋下を冷やす装着方法」(びろーんと伸びている部分を胸ではなく脇に当てる着方)だと「体は冷えているけれど頭部が熱々」状態がだいぶ改善される印象です。

ref. https://yamashinseikyo.com/item-photo/water/iceman/manual/iceman-manual.pdf

「水冷服使ってみたけどあんま効果なくない?」「思ってたほどじゃない」的な印象の人は一度この方法を試すと良いかもです。ただし、この装着方法でも直射日光下だと帽子は必須かなと。日光の熱が強すぎます。

持続時間はどれぐらいか?

凍ったペットボトル一本でだいたい1時間半ぐらいは持つ感じです。間欠運転モードを使ってもせいぜいプラス三十分ぐらいで、このモードはあくまで「バッテリーを長持ちさせる」目的っぽいです。ポンプを完全に切った状態でも加えて三十分ぐらい。

長期間使用する場合は予備の凍結ペットボトルを持っておくか、コンビニで凍結ペットボトル飲料や氷を買うという選択肢はあります。

(追記: 真空保冷ペットボトルホルダーなら、カバン等に入れておけば炎天下でも一時間半程度は凍結状態を保つことが可能です。予備の凍結ペットボトルを持ち歩く用途に向いています)

リュックサックと相性悪いのでは?(なんとかなる)

https://twitter.com/ka_ka_xyz/status/1678931597121265670


物理出社した時に水冷服の上に「macBook + iPad + その他もろもろ」が入ったリュックを背負ってみたけど、なんとかなりました(「なんとかなった」であって「すごい合う」では無いのは注意)。

  • リュックの背中に当たる側に、クッションになりそうなものを多めに詰めておく
  • リュックの肩紐は長めにしておく
  • 肩の上について。水冷服の水が流れる部分がリュックの肩紐で潰されないよう気をつける

あたりがコツ。ただ、荷物を背負うという点ではどうしても不便になります。毎日だと辛そう。

相性の良い用途と悪そうな用途

三十分~1時間半程度で収まるような用途には最適です。例えば「近所への買い物」「通勤時に使用し、勤務中は職場の冷凍庫でペットボトルを凍らせておいて、退勤時にも使用」的な用途。

一方、「長時間の野外作業」的な用途だとあんまり向かない感じ。使うなら、クーラーボックスに凍結ペットボトルを入れておいて交換できるようにする感じですかね。となると一人で使うには厳しくて、チーム全員で凍結ペットボトルを管理するような方向なのかなと。

不満点

まず前提として、現時点でも「使える」製品です。でもそれはそれとして不満点はあって

  • 腋下・頸部の冷却に最適化したデザインにして欲しい

上で書いた通り、腋下を冷却する装着方法はあるのですが、形状をもっと腋下冷却に最適化して欲しい感じです。また、現状だと首の前側あたりも当たって欲しい部位に当たってない感じがあって、そちらも改善を期待したいところ。

ref
weathernews.jp

  • バッテリーとコントローラーは分けたほうが良くない?

現製品だとバッテリーとコントローラーが一体化した専用ユニットを使うのですが、給電はモバイルバッテリーに任せたほうが良いんじゃないかな感が。(品質問題はあるものの)モバイルバッテリーがここまで普及してる状況で、それとは別にバッテリーを持つのも面倒なので。

  • 結露なんとかならない?

これはもう物理現象なのでしょうがない……高温多湿環境が悪い。そして高温乾燥環境だと空冷服のほうが多分楽。


とまあ色々と思うところはあるとはいえ、今目の前にある猛暑への対応としては現行製品で「使える」のは確かです。仮に「ぼくのかんがえたさいきょうの改善バージョン」が来年出たとしても、今年の暑さを乗り切る役にはたたないので。

野原ひろしとホーマー・シンプソン

Webをふらついてたらとても面白い記事を見かけたのでメモ。

『The Life in The Simpsons Is No Longer Attainable』 (『ザ・シンプソンズで描かれるライフスタイルはもはや達成不可能です』)
www.theatlantic.com

長期シリーズ化している『ザ・シンプソンズ』で描かれるシンプソン家の生活水準は、放送開始当時の90年代では妥当だったものの、2020年時点から見ると同じような収入状況では手が届かないものだよねと言う話です。

で、当然これ本邦の『クレヨンしんちゃん』における「ひろしハイスペ過ぎワロス」問題を思い出してしまうわけで。

両者についてどのへんが一致していてどのへんが異なるのかをメモってみます。

注意: 『クレヨンしんちゃん』も『ザ・シンプソンズ』も10年以上まともに見ていないので、見る人が見たらかなり見当違いなことを書いている可能性はあります。

野原ひろしの場合

『90年代初頭の感覚だと「うだつの上がらないサラリーマン」的に描かれていた野原ひろしが現在の基準で見ると勝ち組エリートサラリーマンじゃねーかワロス』的な話はWeb上では頻出していますが、とりあえず目についたものを数件ピックアップしてみます。

rebuild-life.hatenablog.jp

togetter.com

ちなみに、35歳で年収650万円と言う数字の根拠については以下のpixiv大百科記事が参考になりました。公式設定というよりエピソードからの推定値な模様です。また、記事を読んだ限りだと手取りではなく額面(ついでに、このpixiv大百科でも『The Atlantic』記事への言及がありました)。

dic.pixiv.net

さて、ここで現実社会で30代の所得分布が90年代以降にどう変化したのかのデータを見てみます。

第1部 少子化対策の現状(第1章 4): 子ども・子育て本部 - 内閣府

第1-1-18図 30歳代の所得分布

ヒストグラムの階層の切り方がちょっと気になるところですが、野原ひろしが含まれる「500~699万円」階層の比率は1997年には約24%だったのが、2017年には16%程度まで低下しています。これぐらいの給与水準の人が劇的に少なくなり、逆に年収299万円以下の層が増えているのが分かります。

90年代以降に日本全体で給与水準が下がり、野原ひろし的な給与水準が相対的に「勝ち組」化しているのは確かです。一方でネットでよく言われるような庶民には手の届かないライフスタイルという訳でも無いよねという印象。減ったは減ったけどそこそこの割合で居る感じですね。

ホーマー・シンプソンの場合

『The Life in The Simpsons Is No Longer Attainable』をざっくりまとめると

  • 90年代時点でホーマー・シンプソンの年収は約 25,000ドル
  • 当時は、この収入で5人家族を支えて(余裕は無いものの)そこそこ安定した生活を送るという設定には説得力があった
  • この収入をインフレ調整すると2020年時点で42,000 ドル(全米での収入中央値のだいたい真ん中ぐらい)になるはず
  • でも2020年時点だと家や医療費や大学授業料はそれ以上に上がってるし、インフレ調整後の収入で安定した生活とか無理無理絶対無理

と。「仮に(経済成長の結果生じた)インフレを調整した給与であっても、90年代当時と同じ水準の生活は無理」という話です。中流層の生活がここ数十年でだいぶ辛くなったと。

まとめ

90年代から続く長期シリーズである『クレヨンしんちゃん』と『ザ・シンプソンズ』の両方について「もうこの設定で"普通の中流"は無理じゃねーか」的な言説がある。内容としては

  • クレヨンしんちゃん』の野原ひろしの場合、日本で続くデフレにより連載開始当初の「うだつの上がらない普通の会社員」的な設定が相対的に「勝ち組」化したという語られ方(ただ、今でもそういう水準の人はそこそこ居る)
  • ザ・シンプソンズ』のホーマー・シンプソンについては、米国で続くインフレを調整した後の(統計上は「中流」のはずの)収入では生活がきっつい。「中流の没落」的な語られ方(少なくとも、今回取り上げた記事だとそう)。

と。

背景にある経済状況が明確に違っていても、90年代的な「中流」が成り立たなくなっているという点で共通するというのはなかなか闇が深いというか。

近傍恒星系ビューワ(Nearby Stars Viewer)つくったよ

連休なのでつくった。半径100光年ぐらいの近傍恒星系立体図。

Screen shot of Nearby Stars Viewer

うごくもの(github pages)。IE以外のメジャーなブラウザなら多分うごくはず。
ka-ka-xyz.github.io

ソース
github.com

コード自体はMITライセンスですが、近傍恒星系のCSVデータについてはコードから除外しています(このあたりは後述)。

なぜ作ったのか(おじさんなのでアプリをネタに自分語りする)

こういうの(図は wikipedia: 近い恒星の一覧から)を自分で作ってぐりぐり動かしてみたいなーという欲求がどこから来たのかと言う話。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/ff/Nearby_Stars_%2814ly_Radius%29.svg


「太陽系の近くにある恒星系の立体表示」について、自分の原体験としては中学~高校の頃に読んだベンフォード『星々の海をこえて』に出てきた近傍恒星系立体星図です。年代としては90年代前半ぐらい。

ベンフォード『星々の海をこえて』星図

「太陽系の近くにいろんな恒星系があって位置も分かっていて立体的に俯瞰することができる」という概念、痺れませんか?自分は痺れた。

で、次に出会ったのが数年後に石原藤夫『《光世紀世界》への招待 -近距離の恒星をさぐる-』に出ていた星表。

www.shokabo.co.jp

この頃はまだ「光世紀世界」シリーズは未読だったのですが、この本で初めて存在を知った記憶。さらにその頃から谷甲州「航空宇宙軍史」シリーズの『終わりなき索敵』の連載も始まって、脳内はまさに近傍恒星系ブーム……だったような気がしないでもない。


で、それから数年後。大学に入ってから『《光世紀世界》への招待』の星表から20~30個ぐらい抜き出して「近傍恒星系ビューワ」的なモノを作ってました。開発環境はBorland C++ Builder。当時はまだコードを気軽に公開するには結構ハードルが高かったし、データも書籍からコピーしているものだったのでフリーウェアとして公開するのも微妙だしということでそのままお蔵入り。
あと、出来もあまり良くなかった。

で、いつの日かまた(ちゃんとマトモな形で)作り直してみたいなあ……と思ったり忘れてたりしていたけれど、なんとなく今作ってみたという流れ。

近傍恒星系のデータについて

ぶっちゃけ、プログラムそのものは(今の自分にとっては)全く面倒ではないのです(あ、コード見てまさかり投げないで)。面倒なのはデータを揃えること……ではあるのですが、そのあたりは先達はあらまほしきことで、独自にまとめられている方々がいらっしゃいました。CSVデータとして直交座標の値(x,y,z)があるので、あとはもうそれを表示するだけなのです。すごい。

100lightyear.hatenadiary.jp

startide.jp

今回は「拡張光世紀星表 (仮称)」の半径100光年ぶんの「拡張光世紀星表 (2016-10-23)」を使用することに。以下のとおり「データについては特に権利を主張できるようなものではなく、ご自由に利用いただいてかまいません。」とのことで、ご許諾いただけました。

ただ、MITライセンスは条件として「著作権表示」が入るので、公開コードには「拡張光世紀星表 (2016-10-23)」のデータは含めていません(デモ用のgithub pages側のデータには含めていますが)。また、ライセンスファイルに「stars.csvの内容については除外する」と明示しました(ほんとにこれでいいのかどうか自信はあんまりないですが)。

github.com
github.com

開発メモ的な

create-react-app雑感

ejectして色々ビビるなど。

「reactとtypescriptが使える最低限の環境がほしい」みたいな用途には色々過剰な気がする。

three.js雑感

「こういうふうに書けば動くよ」的な情報は結構大量にあるのだけれど、古いAPIを使ったものが多く、このビューワで使用したバージョンでは動かない(プロパティやメソッドが存在しなかったりクラス自体が存在しなかったり)というケースがかなりあるという印象。
結構試行錯誤が必要でした。
ただ、事前にぼんやりと「マウスやタッチ操作でカメラを動かすのは大変そうだなあ」的に思ってた部分についてはOrbitControlsを使うとほぼ何も書かずに解決できてとても便利。

threejs.org