チャイナ・ミエヴィル「言語都市」感想、あるいは異世界SFとKindle Paperwhiteとの相性について

言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)

言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)

ローカス賞SF長篇部門受賞〉遙かな未来、人類は辺境の惑星アリエカに居留地〈エンバシータウン〉を建設し、謎めいた先住種族と共存を続けてきた。アリエカ人は、口に相当する二つの器官から同時に発話するという特殊な言語構造を持っている。そのため人類は、彼らと意思疎通できる能力を備えた〈大使〉をクローン生成し外交を行っていた。だが、平穏だったアリエカ社会は、ある日を境に大きな変化に見舞われる。新任大使エズ/ラーが赴任、異端の力を持つエズ/ラーの言葉は、あたかも麻薬のようにアリエカ人の間に浸透し、この辺境惑星を動乱の渦に巻き込んでいった……。現代SFの旗手が描く新世代の異星SF

kindle版を購入。


序盤の異世界SF・コミュニケーションSFから、中盤以降は一転してサバイバルSF、そして最後には・・・という二転三転する急展開。いや面白い。ただ、結局真に異質な存在とコミュニケーションを取るには相手をXXXしか無いっていうオチはちょっと冷めてるなーという気が。


で、こっからKindle Paperwhiteの話になりますが、この手の異世界SFとの相性が悪いなあ。SF作品の場合には特に、全く未知の生物・未知の概念・未知の現象を表す単語が何の説明もなく出てきて、その後数十ページ後に説明が出てくるということがザラです。また、意図的に時系列をバラしてるような描写もあります。
で、紙本の場合にはそういう時に気軽にページを行きつ戻りつしてじっくり確認することが出来たんですが、Kindle Paperwhiteはこういうランダムアクセスな読み方がとても苦手です。まあ、適切な箇所にハイライトやブックマークを置いていくことである程度の補いは付きますが、それでもやはり紙の本と比較するとどうにも面倒。基本的にKindle Paperwhiteのデザインは(ハードウェア的にも、ソフトウェア的にも)シーケンシャルアクセス前提なんですよね。

とは言え、大量の本を持ち歩けるという利便性と秤にかけると一長一短有って悩ましいところですが。