筒井康隆「ヒノマル酒場」
最近、筒井康隆短編集が脳内ブーム。
それにしても
- 作者: 筒井康隆,山藤章二
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/06/24
- メディア: 文庫
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に収録されてる「ヒノマル酒場」が凄い。
エリート臭をプンプンにさせた記者のひとりが健の前に進み出、切り口上で言った。
「朝日新聞の者だ。取材させて貰う」
「誰もいれたらへん。帰れ」
健に怒鳴られて記者が血相を変えた。「日本一の大新聞、天下の朝日の取材を拒否するというのか。思い上がるな。公務執行妨害だ。恥を知れ。貴様それでも日本人か」
わめき続ける記者の脳天を、健がものも言わずに一撃した。記者は仰向けに倒れ、片足を高くあげてひくひくと痙攣した。
(強調部は引用者による)
こういう零年代の2chニュース系板やブログ論壇を彷彿とされる描写を70年代にやってしまえる発想が凄い。しかも、マスコミに対して徹底的に不信を抱いている人々が知識人でも何でも無くただのDQNって所が、全方位にケンカを売る姿勢で素晴らしい。
それにしてもなあ。70年代に15歳〜25歳ぐらいの感受性の強い世代でツツイストだった人は、今ではもう50歳〜60歳。結構なお偉方になってる人も多いだろうに、筒井康隆がコケにし続けてきたマスコミの虚構性が70年代とあんまり変わらない気がするのは何故だ?