P.W.シンガー 、オーガスト・コール 『ゴースト・フリート』感想

『戦争請負会社』『ロボット兵士の戦争』『子ども兵の戦争』といった一連のノンフィクションで、冷戦期の「戦争」観が覆りつつある状況を描いてミリヲタの話題をさらったP.W.シンガー。
そのシンガーが手がけた近未来米中仮想戦記ということで話題になっていた『ゴースト・フリート』が遂に翻訳されたので紹介。


中国軍を駆逐せよ!  ゴースト・フリート出撃す(上) (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

中国軍を駆逐せよ! ゴースト・フリート出撃す(上) (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

中国軍を駆逐せよ!  ゴースト・フリート出撃す(下) (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

中国軍を駆逐せよ! ゴースト・フリート出撃す(下) (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)


amazonあらすじ。

2026年、中国が太平洋支配に動き、ハワイ制圧!
ロシアと同盟を組んで、太平洋制圧に挑む中国。
嘉手納基地急襲、国防総省サイバー攻撃を経て、オアフ島に上陸!

共産党支配からより少数独裁的な「董事会」体制に変わった中国は、2026年、マリアナ海溝近辺でガス田を発見、太平洋支配へと動きだした。
密かに同盟を結ぶロシアが嘉手納基地を急襲したのに続いて、中国はパナマ運河を通行不能にし、真珠湾で米軍艦船を爆破、
太平洋艦隊にも大打撃を与え、オアフ島に上陸してハワイを統治下に置くことに──。
中国のサイバー攻撃によりハイテク機器が使えないアメリカは、ハッキングの影響を受けない、現役を退いた旧い艦艇からなる「幽霊艦隊(ゴースト・フリート)」で
ハワイ奪還を目指すが──。
原題:Ghost Fleet

以下、ネタバレ

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「The Making of Stanley Kubrick's 2001 - a Space Odyssey」感想

買ったのは10月ぐらいだったけど書いてなかったので

The Making of Stanley Kubrick's 2001 - a Space Odyssey

The Making of Stanley Kubrick's 2001 - a Space Odyssey


映画版『2001年宇宙の旅』のメイキング本。
この本、何が素晴らしいかというと、ハコのサイズがだいたい1:4:9というモノリス比率なところ。
まあ正確に言うと 4.5 cm x 17.5 cm x 38.2 cm ぐらいで厳密に1:4:9な訳ではないけど、将来的に日本語版が出るにしてもこのハコで出るとは限らないので買ってみた。内容的にも満足ですはい。

70年代を舞台にした第三次世界大戦海戦ゲーム『Command: Northern Inferno』紹介

Command: Northern Inferno は海空戦ゲーム Command: Modern Air / Naval Operations (CMANO)から派生したゲームです。

大本のCommand: Modern Air / Naval Operationsについての紹介記事はこちら

ka-ka-xyz.hatenablog.com

ka-ka-xyz.hatenablog.com

ka-ka-xyz.hatenablog.com


Command: Northern Infernoは、CMANOのゲームシステムを使用して70年代の「あり得たかもしれない」第三次世界大戦の海空戦を扱ったゲームです。アイスランド北大西洋ノルウェー付近を中心に扱った13のシナリオを(シングルシナリオあるいは連続したキャンペーンシナリオとして)プレイする事が可能です。
既にCommand: Modern Air / Naval Operationsを持っている人は拡張シナリオ集として購入可能。持ってない人はスタンドアローンなゲームとして同じ価格で購入可能。

どんなゲーム?

基本はCMANOと同様。ユニットは全てNTDSアイコンで表示され、リアルタイム(時間圧縮・停止有り)で動いていきます。
要はこういう画面。

f:id:ka-ka_xyz:20151108225508p:plain

こういう画面から「ノルウェー海軍の高速艇戦隊がソ連の揚陸船団へ強襲をかけるありさま」を妄想できるかどうかが、このゲームを楽しめるかどうかの鍵となります。

核もあるよ(使用許可が出た場合のみ)

攻略Tips

シナリオ1: Opening Moves

GIUKギャップ(グリーンランドアイスランド・英国を結ぶライン)を突破しようとするソ連潜水艦を狩るシナリオ。
といってもSOSUSで全ての潜水艦の位置は既に掴まれているので、航空機やヘリを使って反撃されない立場から一方的に殴っていくだけの簡単なシナリオです。注意点としては、攻撃前にちゃんと敵かどうかを判定すること。最初は潜水艦は黄色いアイコン(敵味方不明)で示され、敵潜水艦なのか生物学的な(イルカとかクジラとかマグロの群れとか)音響なのか区別されていません。周囲にソノブイを落として潜水艦であることをきっちり判定してから狩りましょう。
(実際の所、うっかり海洋生物を攻撃してもペナルティは無い)

シナリオ2: Goblin on the doorstep

イギリスの弾道ミサイル原潜 HMSリベンジ を大西洋上の哨戒海域まで護衛するシナリオ。敵ユニットは潜水艦とMayak級の情報収集船複数

Mayakは限定的な対潜能力を持ち、放置しておくと危険です。ただ、陸上基地から発信する航空機は対艦ミサイルを装備できないため、こちらも水上艦で対応することになります。また、水上艦搭載のヘリも対艦ミサイルを搭載出来るものもあるので、兵装を換装して置いたほうが良いはず。

また、SSBN HMSリベンジについては"Doctrin & RoE"の設定で "Automatic evasion"の値を「No」に変えるのがおすすめ。初期値のままだと敵を探知するたびにあさっての方向へ転舵してしまうので厄介です。
また、航空機で洋上哨戒する際に、レーダーで敵味方不明な船を見つけても敵か味方か識別できない場合があります。その時は高度を雲の下に指定すると、目視確認が効きます。

あとは、陸上基地から発信した哨戒機やヘリを使って、HMSリベンジの周囲とノース海峡の北側出口付近にソノブイの網を張り、徐々に外側へ広げていけばそのうち潜水艦が捕まるはずです。

シナリオ3: The Fast and the Furious



注意!
このシナリオは現在のところ、ここで配布されているhotfixを適用しないとクリア不可能です。勝利条件を満たしていても次のキャンペーンへ進みません。steamではhotfixがまだ配布されていないので、上記のforumからファイルを入手する必要があります。
また、hotfix適用後にいったんシナリオ3のsaveファイルを削除し、シナリオ2からやりなおして改めてシナリオ3を開始する必要があります。


ノルウェー北岸へ接近しつつ有るソ連両用(揚陸)船団を撃退するシナリオ。
手駒として使える航空機は少数のF-5軽戦闘機とその偵察機タイプ、哨戒ヘリのみ。海上戦力は魚雷艇ミサイル艇を中心としたものであり、あまり有力なものではありません。
一方ソ連側は、揚陸戦団の直衛戦力とは別に、多数のオーサ型高速ミサイル艇が間接護衛戦力として待ち構えています。手駒の高速艇を使って最初から揚陸船団を襲撃すると、オーサ型に寄ってたかって殴り返されるので注意が必要です。

ということで、F-5戦闘機を使ってオーサ型ミサイル艇を狩りつくしてから、水上戦力で揚陸船団を襲撃するのが一番すんなり行きます。ただ、F-5の使い方が結構厄介で、普通に使っているととてもオーサ型ミサイル艇を狩りつくせません。とりあえず

  • F-5ユニットの"Doctrin & RoE"で"RTB when Winchester"(兵装を使いきった場合は基地へ帰投)を「No」に指定(兵装を使い終わった途端に敵の防空網を突っ切って帰還しようとする場合があるので防止のため)
  • F-5ユニットの"Doctrin & RoE"で"Use gun against surface/land contacts (starfing)"を「Yes」に指定(ミサイル艇を相手にする場合、機銃の攻撃が結構効く場合も有るため)
  • 初期兵装 Mk20 Rockeye II CB の機体はとりあえず出撃させるが、帰投時に AGM-12B Bullpup Aへ兵装転換(Rockeye IIは全く役にたたない。Bullpupは長射程なうえに一発当たればミサイル艇にとって致命傷。ただし、兵装の残数が少ないので注意)
  • Bullpupや通常爆弾を使ってオーサ型を攻撃するときは、自動攻撃せずに手動で攻撃すること(一発当たれば致命傷なのに自動攻撃だと一回で全弾を撃ち尽くすため)
  • F-5は出撃後再補給に約5時間かかるので、だいたい2出撃が限界というか3出撃前に揚陸船団が揚陸ポイントに達してしまう。2出撃目までにオーサ型ミサイル艇を可能な限り減らす
  • F-5を使ってオーサ型ミサイル艇を減らすまでは、水上艦艇は初期位置のちょと西寄りあたりに退避。ただし、あまり西へ行き過ぎると揚陸船団の迎撃に間に合わなくなるので注意
  • 揚陸艦が積んでいるハインド攻撃ヘリ魚雷艇にとって結構脅威なので、水上艦艇で揚陸船団を襲撃するタイミングで、F-5の上空直護を付ける
  • 揚陸船団本体は対空防御は強いものの、対艦攻撃能力は低い。オーサ型さえなんとかすれば手持ちの戦力で殴り放題出来る。ただし、西の端にいるFFGについては、もし余裕があればBullpupを装備したF-5で予め沈めてしまうと楽になるはず。


このシナリオだけ攻略情報が細かいのは、最初の注意点で引っかかって5回ぐらいやりなおしたから。

シナリオ4: Barents Sea Boomers

バレンツ海ソ連の「聖域」(厳重に防衛されたSSBN哨戒海域)へ潜入したスタージョン級SSNでSSBNを狩るシナリオ。
このシナリオは多分に運が絡む。というか運ゲー。Creep速度で哨戒海域をぐるぐるめぐり、運が良ければSSBNと巡り会える。運が悪ければ対潜哨戒機から魚雷落とされて一方的にボコられて終わります。
注意点として、同じ海域でプレイヤーの指揮下に無いイギリスのスイフトシュア級SSNも行動しているので、同士討ちを避けること・・・つまり、「ソナーでSSNを探知して10時間追い続けた挙句に味方と判明」もあり得えます。


今のところシナリオ5プレイ中なので攻略情報はここまで。

スプラトゥーンは「初心者向け」か?

前回のスプラトゥーン語りの続き。

Splatoon(スプラトゥーン)

Splatoon(スプラトゥーン)


スプラトゥーンはおもしろんだけど辛いというか、前評判やレビューやCMで受けるイメージのような、「初心者向け」「誰でも楽しめる」とはちょっと違うというか、「初心者向け」って概念自体に幅がありすぎるという話を書く予定。
あ、念の為補足するとスプラトゥーンは(辛いけど)楽しいゲームなのは確か。ちなみに自分は今のところウデマエB+ぐらいで安定。バケットスロッシャー派。ランク1桁の人については状況が許す限りキルは避け、リッター3Kと煽りイカ*1野郎は積極的にキルしに行くプレイスタイル。バケツ楽しいよバケツ……と書けるぐらいには楽しめてる。

色々語る前に、ゲームプレイヤーとしての自分について

このブログの「ゲーム」カテゴリを見ても分かるように、基本はストラテジー系PCゲームがメイン。反射神経使うようなFPS/TPSは苦手というかほぼ初心者。
あと、「だからゆとりは」的な感想が来る前に補足しとくと、ロンダルキアの洞窟(FC版)体験した世代なんでそこんところよろ。

発売前の期待

スプラトゥーン発売前までさかのぼって自分が受けた印象を振り返ってみると、この記事

www.4gamer.net


のように

"撃ち合いの巧拙に関わらず,みんなで楽しく遊べるシューティング。"
"陣取りゲーム"
"TPS風のゲームでありながら,射撃のうまさに関わらず貢献している気になれて楽しい"
"総じて「プレイヤースキルに関わらずみんなで楽しく遊べる」ことに注力されている"

って感じだったんですね。任天堂が、スパルタンで荒んだ(下手なプレイすると即座に4文字言葉が飛んでくるような)プレイヤー対戦型のFPS/TPSのあり方を根本から変えるようなゲームを出してくるんじゃないかという期待がありました。
で、実際のスプラトゥーンがどういうゲームだったかというと、確かにこー初心者に向けて「間口が広い」ゲームであり、荒まないように考えられてはいるんですが、プレイしてて余りに"初心者向け"ではないよなあという印象が強かったです。面白いけど。

速攻で購入した自分のプレイ体験

ka-ka-xyz.hatenablog.com

つらい

発売後のレビュー

でも、発売後に出てるレビュー等を見ても結構「初心者向け」「だれでも楽しめる」的な感想が多いんですよね。例えば

ゲーマー向けメディアだと

www.4gamer.net

イカ達が装備しているブキはステージを塗りつぶすために使うものであり,相手を倒すのは二の次。
 ゲームで何人相手を倒しても,また何回相手に倒されても,最終的な勝敗は塗りつぶしてナワバリとした面積で決まるので,積極的に最前線に出て戦わなくとも,相手のいないところで黙々とステージを塗りつぶしていくだけで,チームの勝利に貢献できる。このあたりが,本作の最大の特徴といえるだろう。


【「Splatoon(スプラトゥーン)」レビュー】Splatoon(スプラトゥーン) - GAME Watch

敵を倒すスキルも重要だが、あくまでも“インク(塗る)”と対を成している点もポイントのひとつ。一般的な対戦メインのTPSやFPSでは精密なエイミングスキルが大前提となるため、それが苦手だとそもそもゲームに参加できない(楽しめない)が、本作は塗ることが最大の貢献。ドンパチ要素を十二分に残しつつ、それが苦手な人も参加できる……なにより“貢献できる”作りは白眉の一言。「誰でも楽しめるゲームです」なんてセールストークも陳腐化して久しいが、本作ではプレイするたびに実感させられる。


www.4gamer.net

実際に遊んでからあらためて一言で説明すると,「平和面白い」って感じよね。

ゲーム系以外のメディアだと

toyokeizai.net

いわゆるシューティングというジャンルのゲームですが、なにがすごいかというと、まず世界観がすばらしい。人を倒すんじゃなく、殺すんじゃなく、色を塗っていく陣取りゲームなのですね。

みたいな。まあ、取り上げられ方としては「だれでも楽しめる」「初心者向け」的な色が強い。

ほんとに誰でも楽しめるのか

いやこれ書いた時は「辛いわー」って感想がかなり少なかったんですが、発売後結構経つとそれなりに「辛いわー」系の感想増えてくるんですよね。例えば

anond.hatelabo.jp
(スプラトゥーンとは明示されていないけど、マリカの話が出ているということはWiiUで、"そのゲームの絵柄自体はかわいらしくて年齢制限もついていないんだけど、TPSやFPSタイプのネット対戦ゲーム"との事なので、書かれた時期と合わせてまあスプラトゥーンで間違いないだろうなと。)


anond.hatelabo.jp


あと、Twitterでも「子供がプレイしてて切れた」的な話も見かけたけど、今探したら見つけきれなかった(探し出せてもここでリンク貼るべきかどうかは微妙だけど)。


何故「辛いわー」系の感想が余り目立たないかというと、"ゲームそのものがつまらない"という話であれば、いわゆる「クソゲー」批評のように該当ゲームをDisることで書き手も読者も楽しめる(事もある)のですが、スプラトゥーンの場合、そういう書き方は出来ない。何故かと言うとゲームとしては面白いから。繰り返すけど、ゲームとしては面白い。けど、プレイするたびにフラストレーションが溜まってくる場合がある。ナンデ?

何故、そんな楽しいゲームでフラストレーションを感じるのか?

いやゲームの設計としていくつか要因は思いつくんですけどね。例えば

  • 何のかんの言って腕前の差が露骨に出る
  • 比較的少人数の対戦(4対4)なので、負けた時に「自分の下手さがチーム全体の足を引っ張る」感が強い
  • いったん劣勢になるとひっくり返すのは困難で、ひたすら押し込まれるだけのプレイになる
  • 負けた時のリザルト表示でことさらに悔しさを煽ってくる
  • 現状のナワバリバトルのマッチングは「下手な人」を救済しない*2

あたりの要素。でもこれ、上手い人にとっては魅力なんですよね。

  • 何のかんの言って腕前の差が露骨に出る → 上手ければ爽快なプレイ体験
  • 比較的少人数の対戦(4対4)なので、負けた時に「自分の下手さがチーム全体の足を引っ張る」感が強い → 上手ければ「自分の強さでチームに貢献」の魅力
  • いったん劣勢になるとひっくり返すのは困難で、ひたすら押し込まれるだけのプレイになる → いったん優勢を確保できれば、そう崩れない
  • 負けた時のリザルト表示でことさらに悔しさを煽ってくる → 負けなければどうということもない
  • 現状のナワバリバトルのマッチングは「下手な人」を救済しない → 上手ければ何の問題も無い

上手い人(ゲームレビューの発信者は大抵上手い人でも有る)にはこういう面はあんまり見えてこないし、下手な人は「ゲームそのものが駄目」ではなく「自分の腕が駄目」と思えてしまうので、あんまり正面から書きづらいのではないかという気がします。いやこれでゲームそのものが理不尽に難しかったりしたらまだある種の救いがあると思うんですが、ゲーム自体は素晴らしいので「自分に対してフラストレーションが溜まる」状態に追い込まれやすいんじゃないかなと。


「初心者向け」って何だ

ガチなゲーマーの人は"ゲーム自体は素晴らしいので「自分に対してフラストレーションが溜まる」状態に追い込まれやすい"とか読んだら

「いやそこは腕を上げろよ!勝つために努力しろよ!勝って楽しめよ!それがゲームの楽しみじゃないか」

的な事を思うかもしれません(実際、上で上げた「辛いわー」系へのはてブコメントやトラックバックでもそういう反応がある)。


………いやな、分かる。分かるよ学生時代の自分でも同じような反応したと思うよ。

でもさ、満員電車に揺られてヨレヨレになって家にたどり着いたサラリーマンに、そういう事求められても辛いのな。一日の疲れでささくれ立った精神を解きほぐすためにまったり楽しみたいのな。
あるいは、感情の制御がまだまだ苦手な子供に、遊びの中でそういうストレスを与えて耐えろっていうのはちょっと辛過ぎね?

スプラトゥーンの「間口の広さ」とか「初心者向け」とは、「初心者が中級・上級者へと育つための取っかかりやすい」「初心者でもすんなりはまり込める」という話であって、「初心者が初心者のままでまったり楽しめる」という方向じゃ無い気がするんですよね。なんというか、プレイヤーが、それに応えるだけの精神的・時間的、あるいは年齢的な余裕を持っていれば、努力の過程で心ゆくまで楽しめるとは思います。が、そういう余裕を持つことが出来ないプレイヤーにとっては辛さが溜まる構造になってしまっているんじゃ無いかと。

もっと言うと、かつてWiiNintendo DS任天堂が興したムーブメントって、そういう「初心者が初心者のままでまったり楽しめる」方向だった訳で、スプラトゥーンでもそういう方向性を期待してたのに裏切られたなーというモヤモヤも有る。
補足すると、実はプレイスタイルによってはdic.nicovideo.jp
のようにまったり遊べるマッチングへ到達出来るんですが、余程の腕がない限りは、キルされ続けることに慣れ続けるか、見方の勝利に貢献しないプレイをし続けるかでないと到達出来ない気がして多分心が折れそう。*3


なんというか、これから年末~正月にかけてスプラトゥーンは爆売れすると思います。そしてかなりの割合で「初心者向け」という言葉に対して「初心者が初心者のままでまったり楽しめる」という印象を持って買う人がいるんだろうなと思います。
そういう人が、買ってしまった後で「こんなはずじゃなかった辛い」的な感想を持つ前に読んでくれないかなーと。

最後に念の為、(自分にとっては辛さがあるものの)スプラトゥーンは楽しいのも確かです。「初心者が初心者のままでまったり楽しめる」系のゲームじゃ無い(というかそういう風に楽しむには工夫が必要な)だけで。

*1: 主に敵プレイヤーを倒した時に、相手プレイヤーを煽るために行われるディスプレイ行為。参照: 【スプラトゥーン】煽り イカ - YouTube

*2: 現状では他のユーザーをキルする傾向が強い/弱いプレイヤー同士がマッチされる。プレイヤーの腕はあんまり関係しない。

*3:とはいえ、ある程度ランクを積み上げた後ではなく、初手から「ゆうたピア」を意識して不殺プレイしてればすんなり行けるかも。まったり楽しみたい人は理不尽に思えても不殺プレイに徹しよう。

java.util.TreeMapとjava.util.Comparatorの罠

ちょっと職場で引っかかったコード。

java.util.TreeMapのコンストラクタにはjava.util.Comparatorを渡すことが出来て、エントリの並び順を細かく制御することができるけど、それでハマったのでメモ。環境はjava8

import java.util.Comparator;
import java.util.Map;
import java.util.TreeMap;


public class Sample {

  public static void main(String[] args) {
    Map<String, String> map = new TreeMap<>(new Comparator<String>() {
      @Override
      public int compare(String o1, String o2) {
        //実際のコードだともっと複雑で、ある特定の条件下でのみo1とo2が異なっていても0を戻す
        return 0;
      }
    });    
    map.put("hogehoge", "value_of_hogehoge");
    map.put("hogefuga", "value_of_hogefuga");
    map.put("fugaguga", "value_of_fugafuga");
    //mapに3つのKey-Valueを入れたつもりが・・・
    System.out.println(map);
  }
}

上のような感じのコード(実際にはComparator#compareの中身はもっと複雑)でmapにKey-Valueを追加した。で、3つのKey-Valueが入ると思ったのに実際の標準出力は

{hogehoge=value_of_fugafuga}

とmapの中に一つしか入ってない。
まあ、サンプルコード見れば分かるけど、Comparator#compareが0を戻している事が原因。

TreeMap (Java Platform SE 8)
を見ると

これはMapインタフェースがequalsオペレーションに基づいて定義されるためですが、ソート・マップはそのcompareTo (またはcompare)メソッドを使用してすべてのキー比較を実行するので、このメソッドによって等しいと見なされる2つのキーは、ソート・マップから見ても同じものです。ソート・マップの動作は、その順序付けがequalsと一貫性がない場合でも明確に定義されていますが、Mapインタフェースの一般規約には準拠していません。

とあるのでまあ仕様なんだけど、Comparatorは並び順を定義するだけだと思い込んでいたので引っかかった。
あと、コンストラクタの説明の方にも一言入れといて欲しい。

C88戦果報告(随時更新予定………多分)

C88の戦果まとめ。感想については随時更新予定*1

- TwiFULL Press 『月刊ポスドク 2014年12月号』

- TwiFULL Press 『月刊ポスドク 2015年8月号』

まあ、ポスドクに成らなかった(なれなかった?)単位取得退学者としては買っていいんかなーと思わないでも無いものの、付録(「象の卵クリアファイル」+「進捗報告用不在連絡票」)に負けて購入。「進捗報告用不在連絡票」は職場に持って行こうかな。実用性高し。

- 風虎通信 宇宙の傑作機番外編『ソヴィエト・ロシア・ウクライナのコンピュータ 増補改訂版』(既刊)

去年の夏に入手できなかったので購入。面白かったのが、数理モデルを使って経済計画を立てようという試みに対して

コンピュータによる経済計画という概念は一般には極端な中央集権と捉えられ、多くの人間によって市場原理導入に対する言い訳に使われたりした

といったネガティブな取られ方をされていたというあたり(マルクス経済学的にというかイデオロギー的にアウトという事らしい)。中央集権型超巨大コンピュータで経済計画立ててこそソ連じゃね?みたいな偏見と実像はだいぶ違うらしい。あとメインフレーム機について、国家政策として独自開発アーキテクチャからIBM互換機路線へと移行することで、IBMの後追いしか出来なくなって西側とのギャップが広がったというエピソードを見ると、IBMのシェアをそれなりに食った国内互換機勢って凄かったんだなと。

- 風虎通信 宇宙の傑作機 No. 20 『モルニヤ』

- 風虎通信 宇宙の傑作機 No. 21 『ミューロケット』

いろんな政治的理由から箍をはめられた(直径1.4 m以内、誘導制御技術を使ってはならない、全段固体ロケット)中で開発を勧めるうちに、いつしか最強クラスの固体ロケットに進化したミューロケットについて。
もちろん日本の宇宙開発に大きな貢献があったのは確かなんだけど、何だろうこの「何か根本からおかしくないか」感。

- 隙間科学研究所 『フランス原子力庁の臨界実験装置』

- 蟹幕僚監部 『アンドロイドは防火訓練の夢を見るか』

- こんぱすろーず 『1975年のドン・キホーテ

クランシー『レッド・オクトーバーを追え!』のモデルとなった、ソ連フリゲート「ストロジェヴォイ」"亡命未遂"事件の顛末について。この事件の指導者であるサブリン少佐の目的は国外亡命ではなく、実は共産主義的理想主義に基づいて、ブレジネフ政権を打倒するための行動であったという話。
しかし、ソ連崩壊後の1994年に名誉回復(「祖国に対する反逆者」という罪名を削除、「集団的反抗の扇動」についてはそのまま)が行われるんだけど、軍事力を私的に使用して政府をひっくり返そうって構想な訳で、いい話とまとめていいのかというと微妙な気が。
"亡命未遂"事件の10年後にはゴルバチョフ政権が誕生し、ブレジネフ時代の閉塞感を打破するための体制内改革(結果としてソ連という体制そのものが崩壊したけど)を行っていて、その方向性はサブリン少佐が目指していたものと一致してはいるもの、軍事力の私的利用を容認しちゃうと国家成り立たないよなあという。ただこの事件で微妙なのは、「軍事力を私的に利用して政権を打倒」といっても計画がかなり空想的なもので、かつクーデターというよりも世論に火を付けることを目的としていたあたりが「軍事力の私的利用=叛逆」と切って捨てるには難しい所。

もし仮に、サブリン少佐が暴発せずに理想主義を抱えたまま栄達したとしたら、改革の旗手として大活躍出来ただろうなあ。もちろんその場合は、その後のソ連崩壊にも直面する事になるというかソ連の息の根を止めた当事者の一人と成るはずで、もしかしたら史実とはもっと違う形で(もっと凄惨な)大暴発やらかした可能性もあるけど。

- 火力本編纂委員会 『大祖国戦争赤軍戦車砲 5』

- 新見志郎 『自虐的巡洋戦艦史 vol. 6』

イギリス海軍巡洋戦艦「ニュー・ジーランド」はその名の通りニュージーランド政府の予算で建造されているが、1910年起工で1922年にはワシントン海軍条約に伴い解体されているものの、ローンの返済が1944年まで続いたという地獄絵図じみた光景。

- 墨田金属ぼるひじ社『瀛報』34, 36, 39

『軍事研究』誌に出ていた一連の記事の詳細版。正直な所、賛成出来ない部分は結構あるものの、お金を払って読むだけの興味深さはあると思う。

- 『マニラの残照 マニラ湾におけるわが海軍艦艇の最後 1』

- Patria Nostra 『中世軍事史概論改訂版』

もしかしてちょっと前にTLで揉めてたあの話なのかなということで野次馬的に購入。

- 小野部健 『テスト設計の実例と解説』

- 渡辺亮 『「ウォーターフォール・モデル」の原典のはずのRoyce論文を日本語訳してみたらあまりにも予想外の結果が!』

*1:著者名・サークル名・発行者は特に統一してません。てきとー

よくわかる第一次外惑星動乱(谷甲州『コロンビア・ゼロ』発売記念)

二十数年ぶり!谷甲州「航空宇宙軍史」の新刊が・・・

作品の内容としては流石に文句のつけようのない出来ですが、二十年以上前に書かれた「(第一次)外惑星動乱」に関するエピソードが多いので、せっかくですし一つ外惑星動乱について勝手にまとめてみようと思います。
ご新規さんな人のためのガイド、あるいは古参な人向けのリマインドメモになれば幸いです。

正直な所、大分端折っていますが、まあアウトラインを掴むにはこれぐらいで良いんじゃないかと。

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