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「ヨーロッパ人の歴史は1000年ほど。彼はいったいどこから来たのか?: 極東ブログ」について

雑記

この記事について

ヨーロッパ人の歴史は1000年ほど。彼はいったいどこから来たのか?: 極東ブログ ヨーロッパ人の歴史は1000年ほど。彼はいったいどこから来たのか?: 極東ブログ

いやー、タイトルを見ただけで何か誤読してるんじゃないかな感。

ハフィントン・ポストの元記事はこちら。
European DNA Study Links People Across Continent To Shared Common Ancestor

図を見ると、現在イギリスに住んでる人はだいたい500年ぐらい前の祖先もイギリスに居たけど、それ以前に遡るとヨーロッパ中に祖先が分散してるよね(つまりめっさ混血しとる)って言うストーリーに見える。
極東ブログ

先のハフィントンポストの記事を読むと、それほどでもないらしい。現在の西欧人はDNAから見ると1000年前くらいに起源を持つ特定集団の先祖から派生しているというのだ。ちょっとした村の村民が散らばって現在の欧州の国々ということなのか。

っていう受け取り方は多分逆なんじゃなかろうか。
まあハフィントン・ポストだけだと不安なんで、同じ論文を取り上げてるnature.comの記事も見てみる。

Most Europeans share recent ancestors : Nature News & Comment

記事の冒頭部分

Whether they are a Serb and a Swiss, or a Finn and a Frenchman, any two Europeans are likely to have many common ancestors who lived around 1,000 years ago. A genomic survey of 2,257 people from 40 populations finds that people of European ancestry are more closely related to one another than previously thought, and could help to bring about new insights into European history.

をざっくり訳してみると。

かれらがスラブ人だろうがスイス人だろうがフィンランド人だろうがフランス人だろうが、二人のヨーロッパ人は1,000年ぐらいまえに生きていた共通の祖先を持つだろう。40集団2,257人に対する遺伝的調査によると、ヨーロッパの人々の祖先はこれまで考えられてきた以上に互いに結びついており、この調査結果はヨーロッパ史に新しい洞察をもたらすだろう。

("Europeans"ではなく" any two Europeans"って所がキモ)
つまりは、ヨーロッパ人は先祖をたぐればみんないとこ同士ですよっていう話ですはい。

この後で調査手法とか歴史イベントとの関連性とか色々書いてるけど、なんか1000年前にぱっと現れた謎の民族ヨーロッパ人っていう読み方が間違ってるんじゃないかねーという根拠としてはこの部分だけで十分じゃないかと。

ホントは論文をちゃんと読まないとツッコミ出来ないんだけど、とりあえずnature.comを信じてツッコミ。



追記
極東ブログからリンクされてるFAQサイト読んでみた。

項目"What did you find?"の中に感覚的に掴めそうな箇所が有ったのでざっくり訳してみます。

This strange idea that everyone is everyone’s ancestor was actually predicted about ten years ago by Joseph Chang (and collaborators) using maths and simulations. In hindsight this is intuitively clear, due to the rapidly expanding number of ancestors you have as you go back further and further in time.

誰もがみんなの祖先であるという奇妙なアイデアは10年前にJoseph Chang(とその同僚)により、数学とシミュレーションを使って予言されていました。後知恵で言うなら、父さんの父さんの..とたぐっていくことで祖先の数が急激に増加することから、直感的に明白です。

You have 2 parents, 4 grand-parents, 8 great-grandparents, and so on doubling every generation. After k generations you have 2^k ancestors, and this number grows so quickly that just a thousand years back (~30 generations) you have roughly 1 billion ancestors, which is far larger than the population size of the Earth (let alone Europe) back then.

あなたには2人の両親、4人の祖父母、8人の大祖父母がいて、これは世代ごとに倍になります。k世代後にはあなたは2のk乗人の祖先がいて、この数は急激に増え、1000年(30世代)もさかのぼれば約10億人となり、(ヨーロッパはもちろんのこと)当時の地球の総人口を凌駕します。

The consequence is that anyone alive 1,000 years ago who left any descendants will be an ancestor of every European. While the world population is larger than the European population, the rate of growth of number of ancestors quickly dwarfs this difference, and so every human is likely related genealogically to every other human over only a slightly longer time period.

結論としては、1000年前に生きて一人でも子孫を残した全ての人は、全てのヨーロッパ人の祖先となります。世界の総人口はヨーロッパより大きいものの、祖先の数の増加率からこの差は急激に些細なものとなり、そして全ての人が他のすべての人と遺伝的に関連するように成るにはあっという間です。


要は、世代ごとに累計すると人口が凄く多いので、結果としてみんないとこ同士に成るっていう話ですね。「1000年前に少数の共通祖先が現れ・・・」っていう話では無いです。


ちなみに、イタリアやイベリア半島などではまたもうちょっと話が違うらしい。

Why do people on the Italian and Iberian peninsulas have relatively fewer shared common ancestors than other European populations?


まあ、この説が将来的に生き残るかどうかは別として、今のところこの研究者達は「1000年前くらいに起源を持つ特定集団の先祖から派生」っていう主張はしてないです。むしろ全く逆。