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「天使の囀り」感想

読書 雑記

天使の囀り (角川ホラー文庫)

天使の囀り (角川ホラー文庫)

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。

うーん。バイオホラーとしての、××××の作用機構は結構おもしろいんだけどなあ。××××が人を含む霊長類の○○へ◇◇し・・・(ネタバレにつき伏字)という部分が徐々に解明されていく部分は面白いです。ただ、主人公とそのペアの生物学者が斜め上方向に空気を読みすぎている感がして、あまり感情移入できず・・・。

いや物語の中盤あたりで、司法解剖の結果”××××が人を含む霊長類の○○へ◇◇し・・・”というネタが判明するわけですが、厚生省(当時)が、「ヒト⇒ヒト感染する証拠は無いし、不安を煽らないため公表しない」という決定を下し、司法解剖関係者へ緘口令を敷きます。で、主人公たちはその決定を覆すような動きをするかというと・・・・何もしない。一連の事件を追っていくものの、何のかんのと理由をつけて公表せず。一連の怪事件に興味を持っている大手メディアの記者とかとも連携を取っており、公表しようと思えばいつでもできるものの、何も打ち明けず。

いや主人公はまだいいとして、ペア組んでる生物学者が”××××が人を含む(かもしれない)霊長類の○○へ◇◇し・・・”というネタが実験室内で再現されているのに何故か論文投稿する方向に話を持ってかないのが大変不思議な訳で。イヤだって、こんな美味しい(ネイチャーとか、こんなセンセーショナルな現象に飛びつくでしょ)ネタを秘匿している理由が全く理解できません。気鋭の若手研究者で、科研費の分配方針とかに色々と不満を持ってるっていう設定な訳で、インパクトファクターの高い雑誌へ投稿できるようなネタが目の前にあったら、先ず論文にまとめて投稿することを考えるでしょ。海外の論文誌に掲載されたら厚生省(当時)の緘口令なんて無意味になるでしょ。何で二人で抱え込むの?
いやそれ以前に、こういう危険なネタを一般の学生に知らせずに研究室で扱うってどうよ?という気もするけれど。


まとめると、バイオホラー的な仕組みの部分は面白いと感じたのですが、主人公たちの行動や考えには全く共感できませんでした。おまいらただ共依存関係続けたいだけなんじゃないかと。それはそれでいいけど、何も知らない人達を感染リスクに晒しといて共依存関係を優先ってのは勘弁して欲しい。


あと、あの仕組みでデュワー瓶爆発は無いわ。(よっぽど液体酸素が溜まってる状態で火を付けたとかならともかく、単に液体窒素の気化膨張だけであれば)蓋が吹っ飛ぶだけで終わるのでは?