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『米国キャンパス「拝金」報告』感想

読書

ランキング競争が過熱し、産学連携に踊らされ、アメフト、バスケで学生集め…。米国の大学では、エリートへの道も、大学が名を上げるのも、すべてはお金次第になった。日本の大学は、学長のリーダーシップ、外部評価、法人化など、彼の国を範としてきたが、このままで良いのか。

目次

  • 第1章 州立大学 vs. 私立大学 − 「民営化」する州立大学
  • 第2章 ランキング狂想曲 − 名声をめぐる「軍拡競争」
  • 第3章 入学生獲得競争 − エリートへの道もカネ次第?
  • 第4章 アメリカ版高学歴ワーキングプア − 大学教員市場の政治経済学
  • 第5章 産学連携幻想曲 − 研究成果の商業化
  • 第6章 腐敗する大学スポーツ − 誰が誰を「搾取」しているのか
  • 第7章 キャンパスの商業化 − 営利大学からの挑戦

様々なデータを基に、現代米国の大学システムが持つ歪みをまとめた本です。こと高等教育については米国モデルが理想として扱われることが多いですが、そういう見方に疑問をなげかけるために結構批判的な論調でまとめられています。
中には日本の大学システムと共通の問題(ポスドク・非常勤講師問題やランキングによる競争問題)もありますし、今のところ日本では考えられないような問題(あからさまな縁故優遇入学、営利大学による「政府の貸与奨学金なんて楽に踏み倒せるからウチに入学してよ」という勧誘等)もあります。
昨今の日本の大学事情に絶望して米国留学を目指す人も居ると思いますが、海の向こうにも楽園は無いってことです。まあ飛び抜けて優秀な人にとっては日本の大学(学部)に行くよりも学習・研究面でも金銭的な点でもメリットはありそうですが、米国の大学にも様々な歪みが存在するってことは抑えておくべきかと。(「出羽の守」になって戻ってくるのは勘弁)

あと、日本で博士後期課程から研究職を目指すルートはここ20年ぐらい延々と敷設されていた爆弾が今まさに炸裂中なので、歪みがあろうがなかろうが生存のために海外へ出るしか無さげですが(少なくとも生物系は)。