- 作者: 神林長平
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/03/09
- メディア: 文庫
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30年以上SFを書いてきたぼくは、第一線をはなれたような気分になっていた・・・・・・
ベテラン作家が、伊藤計劃『ハーモニー』と3・11後のフィクションの可能性を考察する表題作、
深井零がパーソナルなコンピュータを追い求めた記憶を 語る《戦闘妖精・雪風》シリーズのスピンオフ「ぼくの、マシン」、
多世界解釈を巡る異色スペースオペラ「かくも無数の悲鳴」など、
変遷し続けるコミュニケーションの様相を切り取った全6篇を収録
いつもの神林長平ワールドではあるものの・・・・何というか、ここ十〜二十年ぐらいの日本SFについて何も知らない人がこの本を手にとったとして、面白く読めるかどうかというと・・・・。どうなんだろうなあ。
こういうハイコンテキストな作りはどうも好きじゃない。いや神林長平作品は好きだけど。
巻末の飛浩隆による(未完に終わった)伊藤計劃『ハーモニー』評の下記のくだりが印象的。
かつて文学は、リッチなスタンドアロンたる「人間」を描くものだった。しかし伊藤計劃の『ハーモニー』以後、この見解は少なからず修正を迫られるだろう。この作品で、演算能力とアプリケーションとストレージの大半をクラウドに明け渡した「シン・クライアントとしてのヒト」が描かれてしまったからには。