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阿川弘之「山本元帥!阿川大尉が参りました」感想

読書

honto電子書籍ストア - 山本元帥!阿川大尉が参りました/阿川弘之 (著) - 電子書籍

hontoにて購入。ちなみにこの本、紙の本としては(古書として入手容易ではあるものの)絶版となっています。

表題作と「私記キスカ撤退」の2つのエッセイが収録されていますが、「私記キスカ撤退」については確か別の本でも収録されていた記憶があるため、ここでは表題作のみを取り上げます。

粗筋としては・・・・1943年、連合艦隊司令長官山本五十六大将(当時)搭乗機が米軍の待ち伏せにより撃墜され、山本大将は戦死(海軍甲事件)。そして1966年(昭和41年)、阿川氏は墜落現場を確認するため、ブーゲンビル島を訪れますが・・・果てしないジャングルと現地人とのコミュニケーションギャップを越え、二十数年前の墜落現場へ到達できるのか。
といった感じです。

いろいろと読みどころは有るかと思いますが、本質から外れた部分として、現時点での放送禁止用語(具体的に書くと「土人」)や、現地人に対する結構赤裸々な見方が連発されているのが何とも言えず、60年代の価値観が見えてきて味わい深いです。60年代にはまだこういう見方や価値観が主流だったんだなあ・・・・。考えてみると、この手記が書かれた時点で真珠湾攻撃から25年、一方で今このBlogを書いているのは手記が書かれてから45年後と、現在よりまだ戦前の価値観が色濃く残っているのはある意味当然なわけで。
終戦(1945年)でいったん価値観が「リセット」され、戦後とは断絶されたように錯覚してしまいがちですが、やはり価値観や風潮というのは微妙に変化し続けつつ連続していることを実感しました。

あと、電子本化するにあたって、こういう表現に下手に手を加えずに敢えてそのまま残した中央公論新社に感謝。