ガロイ「模造世界」感想

模造世界 (創元SF文庫)

模造世界 (創元SF文庫)

電子的な仮想社会を創造し、そこに仮想人物たちを住まわせる、画期的な社会環境シミュレーターが計画された。だが、その完成を目前に開発者が死亡する。仕事を引き継いだ主人公に、開発者の友人が密かに告げた。「あの死は事故ではない」と。しかし彼は直後に姿を消し、奇妙なことに、そんな男など知らないと誰もがいいだした。現実の歯車がくるいはじめる。SFミステリの逸品登場。

良くも悪くも「プロットが破綻しないディック系多層現実皮剥き小説」の一言でまとまりそう。それなりに面白いしミステリとしても手堅くまとまっているものの、突き抜けた部分が無い感じです。面白いのは面白いんですが、例えば古本市で定価と同じ価格がついていたとして、買って満足できるかどうか微妙と言うか、優等生的な面白さと言うか。
逆に言うと「多層現実皮剥き小説」への入門書としては結構良いかも。