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「エアコン1台を止める(130W)」と書いてて違和感無いのかなあ

雑記

20110718 追記しました。

テレビが報じない節電対策。節電にはエアコンを切るよりテレビを切った方が1.69倍効果的 | デジタルマガジン テレビが報じない節電対策。節電にはエアコンを切るよりテレビを切った方が1.69倍効果的 | デジタルマガジン

ブクマで感心してる人が多いけど、エアコン一台の消費電力が130Wとか、あり得なさ過ぎる・・・・。違和感持とうよ。ってことで、この数字がどんな根拠で算出されているのか調べてみました。

まず、この記事の元資料(NRIのプレスリリース)

震災復興に向けた緊急対策の推進について〜第6回提言 家庭における節電対策の推進〜 | 野村総合研究所(NRI)

から、さらに元になったレポート

震災復興に向けた緊急対策の推進について 第六回提言 家庭における節電対策の推進

を見てみます。すると、「図表6 エアコンに関する節電施策の想定節電量と追加節電量」の中に下記の一節が

エアコン使用時の平均的な消費電力を132ワットとした。「省エネ性能カタログ2010夏版」より、壁掛け型冷暖房兼用・冷房能力2.8kWクラス・省エネ型代表機種の期間消費電力の平均値から、冷房期間の使用時間を除して算出

そこで、経済産業省資源エネルギー庁が発行している省エネ性能カタログ2010夏版」を見てみます。
使用されているのはp14の表「エアコン 冷房能力2.8kW(8 〜 12畳)寸法規定」ですね。
ちなみにこのカタログでは、冷房使用時の電力消費量を見るために下記の二つの値を使用しています。

●冷房消費電力(W)
冷房時の定格消費電力です。

●冷房期間消費電力量(kWh)
冷房期間3.6 ヶ月間(6月2日〜 9月21日)の消費電力量(kWh)です。

同カタログp10より


ちなみに、「エアコン 冷房能力2.8kW(8 〜 12畳)寸法規定」の表によると、冷房消費電力の平均は 599 W、冷房期間消費電力量の平均は 242 kWhとなっています。
「冷房期間消費電力量」についてはこういう定義を使用して算出するようです。

●期間消費電力量(kWh)
日本工業規格JIS C 9612(ルームエアコンディショナ)「期
間エネルギー消費効率算定のための試験及び算出方法」に
基づくAPFから算出されています。

■ 算出条件
外気温度東京をモデルとしています
期間冷房期間3.6 ヶ月(6月2日〜 9月21日)
暖房期間5.5 ヶ月(10月28日〜 4月14日)
設定温度冷房時:27℃/暖房時:20℃
使用時間6:00 〜 24:00の18時間
住宅平均的な木造住宅(南向き)
部屋の広さ機種に見合った広さの部屋(下記参照)(引用注:省略)

同カタログp10より


恐らく、夏期を通して冷房をフルにかけ続ける世帯を想定してもコストの算出にはあまり意味が無いため(6月初旬や9月中旬にエアコンをフル使用するという使用状況は考えづらい)、モデルケースを使用してより実際に近い電力消費量を求めるために使用される単位のようです。
つまり、「冷房期間消費電力量」から単純に日割りして「冷房消費電力」を算出すると、エアコンをフル使用している場合と使用していない場合の平均値が出るため、「冷房消費電力」が非常に低い値となってしまうと考えられます。

とりあえず野村総研のレポートのように”期間消費電力の平均値から、冷房期間の使用時間を除して算出”してみると

242(期間消費電力量の平均値 kWhr) * 1000 (kを取る)/ (3.6 * 30 * 18(一日あたりの想定使用時間)) (総計時間 hr) = 125 W

となります。野村総研の出している値(132 W)と微妙に数値が違うのは、おそらく日割り計算に使用する日数が適当なせいと思われます。

野村総研の試算は妥当なのか

言うまでもありませんが、今年の夏に問題と成るのは、ピーク時の最大消費電力です。
ある時点にどれだけの電力が消費されるのかという問題について考えるには、「冷房期間消費電力量」を基にしてピーク消費量を均した消費電力を使用するのは不適切であり、ミスリードを招くと思われます。(付け加えると、「冷房期間消費電力量」という考え方は、コスト計算のために使用するには非常に有効です。)

個人的にはこの試算が妥当とは思えません。ここでは元データにある「冷房消費電力」の平均値(599 W)を使うべきでしょう。

ついでにいうと、レポートを書いた野村総研の中の人は、エアコンの消費電力が130Wとかいう数値が出た時点で違和感を持つべきかと。レビューとかやってるのかなあ・・・

追記(20110718)

一日中冷房をつけっぱなしにした場合の、消費電力の経時変化について調べてみました。
できれば複数の資料があればよかったのですが、探し方が悪いのか、引っかかったのは下記の資料ぐらいでした。

ビルおよび住宅における除湿・加湿空調制御の問題点と最新の技術動向

f:id:ka-ka_xyz:20110718145347p:image
(上記pdfより引用)

実線が除湿運転時、破線が冷房運転時の電力消費です。(元々この資料は両者の比較を目的として作成されているため)
10年前のデータ(2000年夏)なので、「省エネ性能カタログ2010夏版」に掲載されているエアコンと比べると、かなり消費電力が高いはずです。また、野村総研が出した数値は「冷房能力2.8kW」のものですが、上のデータでは「2.2kW機」となっています。そのため、単純に消費電力を比較することはできません。
ただし、「一日中冷房をつけっぱなしにした場合、消費電力がどの程度変化するのか」という傾向を見ることは出来ると思います。(天候や外気温の変化が示されていませんし、建物自体の開放度、断熱性、日当たり具合、部屋の面積等の要素も絡んでくるはずなので、あくまで参考程度に。)

このグラフからつかめる傾向としては

  • 11時〜12時ぐらいの間に急激なピークが来る
  • 13時〜17時ぐらいの間はピークの半分程度の電力消費で安定する
  • 18時〜24時ぐらいの間はピークの1/3程度の電力消費

という感じのようです。
一人暮らしや子どもの居ない共働き世帯の場合、平日では夕方以降しか冷房を使わない可能性が高いです(ペットの飼育等で日中の冷房が必要となる可能性を除く)。このような世帯で省エネエアコンを使った場合には、一旦部屋が冷えてしまえば130W程度の電力消費で済む、あるいはそこまでいかなくともテレビより消費電力が低くなる可能性があるかもしれません。
ただ、この時間帯に電力消費のピークが来ることは無さそう(参照:Yahoo電気予報)なので、あまり意味が無いと思いますが。