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 潜入ルポ アマゾン・ドット・コム

読書

amazonというと本好きにとってはもう生命線みたいなサイトで、まだインターネットがなかった頃に片田舎の小規模書店で本を注文したら平気で一ヶ月は待たされた挙句に「絶版です」の一言で終わったりしてた体験を持つ身としては、amazon抜きの生活は考えられない。
一方で、amazonについては極端な秘密主義や「税金払え」騒動、あるいは労働条件の悪さ(例1, 例2)など、暗い一面も存在している。
そういうamazonの暗い面に焦点を当てたのがこの本。

潜入ルポ アマゾン・ドット・コム (朝日文庫)

潜入ルポ アマゾン・ドット・コム (朝日文庫)

物流業界ジャーナリストの著者が、amazon物流センターへの潜入取材を決行し、同時にamazonの経営戦略を探っていくという内容。特徴的なのが著者の視点で

  • 物流業界/出版業界ジャーナリストとしてamazonの戦略を分析する著者
  • アマゾン物流センターの一アルバイトとしてamazonから使い倒される著者
  • 本好き(「amazonの顧客」)としてamazonを使い倒す著者

この三つの視点が相まって非常に面白い。
著者が業界ジャーナリストとしてアマゾンの独り勝ち状態や世界戦略に舌を巻き、同時に物流センターの"薄給使い捨て"アルバイターとして徹頭徹尾システムの一部として扱われる配送現場にうんざりし、さらに同時に本好きとしてamazonサービスの虜になる様を描く・・・と書いてしまうと非常にまとまり無く見えてしまうが、多面的な視点でamazonを見るという姿勢は素晴らしいと思う。

不満な点は、文庫版で追加された(アマゾン「Kindle」を中心とした)電子書籍についてのセクション。出版業界ジャーナリストとしての視点のみで書かれていて、じゃあ一介の本好きとして著者自身が電子書籍のことをどう見ているのか?という視点が欠けているところ。
個人的には、夜中の二時ぐらいに「あの本が読みたくなってきた」と突発的に思ってしまったが最後、本棚とブックケースをひっくり返して目的の本を探しているうちに気づいたら夜明けになっていた・・・ような経験がいくらでもあるので、検索できるというメリットだけでも電子書籍は大歓迎なんだが。
まあ、DRMの実装方法とか、端末の魅力とか(「書籍」端末としてはガラパゴスのような液晶は駄目だろう。個人的には電子インクでないと)についてはまた別問題なんだけど。