突発的にHarpoonリプレイ(3) 赤い帝国(当時)から見た冷戦期の現代海戦

前々回前回NATO側からプレイしてみたが、今回はソ連側でプレイしてみる。

状況設定

使用するバトルセット(Map+シナリオ+兵器データ集)は、"Harpoon Designer's Series 2 Set #1 GIUK GAP"。前回取り上げたGIUKギャップバトルセットのアップデート版。冷戦期のシナリオと、90年代前半〜中盤ぐらいを想定した兵器を組み合わせ、”90年代にあり得たかもしれない第三次大戦”をシミュレートする。

プレイするシナリオは14.0 "In Every Clime And Place"。
ソ連軍はノルウェー全域を確保した状態。NATO軍は一個空母戦闘群(現在は空母打撃群と呼ばれる)の支援下で、一個揚陸艦隊をによるノルウェー西岸のヴァルネス航空基地(トロンヘイム近郊)への揚陸作戦を開始した・・・という内容。ソ連側としては、空母戦闘群を相手に思う存分長射程対艦ミサイルを打てる理想的な展開に成る・・・はずだが。

シナリオ開始時のユニット配置は以下のとおり

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ソ連側の戦力配置

  • 対艦航空戦力

アルハゲリンスクとコラ半島の航空基地に、Tu-22Mバックファイア爆撃機35機、Tu-16バジャーG爆撃機16機が配置されている。爆撃機の離着陸にはある程度大規模な滑走路が必要であるため、このシナリオでは上記の航空基地でしか爆撃機を運用できない。上でも書いたが、これらの爆撃機が持つ長射程対艦ミサイルは米空母打撃群を撃破するための切り札となる。
ノルウェー南部にはSu-24フェンサー攻撃機25機が配置されているが、航続距離が短いために使いどころが難しい。

  • 対空航空戦力

コラ半島にはSu-27が20機配置されている。こんな戦線後方に置いていては宝の持ち腐れとなるため、前線のノルウェー南西へ移動させる必要がある。ノルウェー西岸の航空基地群には、防空戦力としてMig-23、Mig-21、Mig-29が多数配置されているが、Mig-29以外は戦力として期待出来そうにない。

  • 水上打撃部隊

カリーニン級原子力ミサイル巡洋艦(近代化改装済みのキーロフ級三番艦カリーニン)を中心とした有力な水上打撃部隊が配置されているものの・・・米空母戦闘群とまともに向かい合ったらただのマトに成るだけなので、ノルウェー西岸に張り付いてエアカバーの下で行動してもらう。

  • 潜水艦

イギリスとアイスランドの中間に、ヴィクター3級原潜とアクラ級原潜からなる潜水艦グループが配置されている。空母戦闘群を待ち伏せにベストポジションなので、グループを分割して待ち伏せ哨戒を行う。近場にキロ級通常動力潜水艦二隻からなる潜水艦グループも配置されているので、こちらも待ち伏せ哨戒を行う。
アイスランド西部(デンマーク海峡)にアルファ級原潜が配置されているが、主戦場から遠すぎるため積極的には活用しない。まあ、空母戦闘群がデンマーク海峡を通ってくる可能性も否定出来ないので、裏口の見張り番に徹してもらう。

NATO側の戦力配置

アイスランドのケフラヴィークと、イギリス北部のキンロスの航空基地が確認できる。F-117ステルス攻撃機が配置されているようなので、奇襲には要注意。また、空母打撃群と揚陸艦隊については所在不明。おそらくはイギリス西岸沖〜アイスランド南部あたりからノルウェー西岸へのコースを進んでくると予想。


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今回のバトルセットで利用可能になったF-117ステルス攻撃機。今回のシナリオではソ連側には早期警戒管制機は配置されておらず、地対空レーダーと戦闘機の空対空レーダーを頼りとして航空機を探知するが、ステルス機を探知するには能力不足だろう。要注意。


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プレイ後に確認した米空母打撃群の構成。エイブラハム・リンカーン (ニミッツ級五番艦)原子力空母1隻を中核として、周囲をアーレイバーク級イージス駆逐艦2隻、タイコンデロガ級イージス巡洋艦1隻、キッド級ミサイル駆逐艦2隻等の護衛部隊で固めた構成となっている。
イージス艦3隻を中心とした編成で防空力が非常に高い一方、対潜前路警戒用の原子力潜水艦が配置されていない。とは言え、空母が搭載する大量の対潜哨戒機や対潜ヘリによる哨戒ラインが形成されるため、対潜能力は非常に高い。
また、空母が搭載するF-14トムキャット24機とF/A-18ホーネット24機を中心とした航空戦力は、大抵の航空基地を圧倒できる力を持つ。

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同じくプレイ後に確認した揚陸艦隊の構成。ワスプ級強襲揚陸艦2隻が搭載するAV-8Bハリアー2攻撃機40機により、限定的だが艦隊防空を行う事が可能。また、アーレイバーク級イージス駆逐艦2隻を中心とする艦対空防空力も高く、手こずりそう。

長射程対艦ミサイルの使いどころについて

爆撃機の数だけを見れば、空母戦闘群相手に同時に100発以上の対艦ミサイルを打ち込むことが可能。オケアン70演習が想定していた空母戦闘群に対する対艦ミサイルの飽和攻撃を充分実行出来る数だ。
しかし、この対艦ミサイルによる飽和攻撃には一つだけ大きな問題がある。

それは・・・空母の位置をどうやって掴むのか?

バックファイア爆撃機は250海里(約450kmm)の射程を持つ対艦ミサイルを3発搭載できる(という想定になっている)。35機が同時出撃するなら、105発のミサイルを打てるだろう・・・・しかし、バックファイア爆撃機の対水上レーダーの有効半径は175海里(約300km)しか無いため、空母を発見するためには危険を犯して接近するしか無い。
また、対水上レーダーを発振していると、空母上空を哨戒しているE-2ホークアイ早期警戒機によるESM(逆探知)によってレーダーの有効半径より遥か遠くから発見され、F-14トムキャットのAIM-54 フェニックス長射程空対空ミサイルによって対艦ミサイルの有効射程の遥か手前で撃墜されてしまう可能性が非常に高い。
よって、「長射程対艦ミサイルという長い槍を持っているが、目隠し状態で振るわないといけない」という余り有り難くない状況になる。この辺のジレンマをどう解決するのかが、ソ連側プレイの醍醐味。

続く