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小松左京セレクション1 宇宙漂流

読書

小松左京セレクション1 宇宙漂流 (ポプラ文庫)

小松左京セレクション1 宇宙漂流 (ポプラ文庫)

小松左京のジュブナイルSF短編集。収録の「見えないものの影」が興味深かった(現代の学園モノラノベとの比較的な意味で)ので紹介。
1965年「高校一年コース」の連載が初出のこの短編、粗筋としては、ごく普通の高校生の日常で起きた何気ない異変が発端となり、世界の危機に・・・という現代のラノベでもありそうなストーリー。また、妹萌えな描写が既にこの時代から存在している点にも注目。
一方でラノベでは余り書かれない要素もあって。列挙すると

  • 妹以外の家族が描写されている

父親・母親が書き割りではなくちゃんと登場人物として書かれてる。
大した理由もなく一人暮らしだったり、なぜか妹と二人暮らしだったり、一緒に暮らしていてもセリフすら無い存在感0な両親だったりする現代ラノベとはえらい違いだ。

  • 大人や公的機関がストーリーに絡む

身の回り10m以内の人間関係だけで完結せず、以下のようなエスカレーションを踏んだ上で政府等の公的機関が絡んでくる。

主人公たち高校生

親類の刑事
高校の生物教師

大学教授
警察

自衛隊・海保
政府

しかしまあ、「こんなに上手く事が運ぶかよ!」と突っ込まずには居られない・・・
正直、「危機」の正体よりもこのエスカレーションの流れのほうがよほどうそ臭いというかなんというか。当時の高校生は、この流れに違和感を感じ無かったんだろうか。

  • 危機を解決するのは大人

主人公たちは危機を解決するためにそれなりに重要な糸口を掴んだりするものの、危機への対応の主体と成るのはあくまで公的機関。


以上。

一応高校生向けの話であるものの、この作品にラノベっぽい挿絵をつけてラノベレーベルで出版したとしても、ラノベとは何かが決定的に違う感じがする。
眉村卓の学園モノ等も絡めて、ラノベ的なお約束がどのような経緯で成立していったのかとか検証するのも面白いかも。と偉そうに言えるほどラノベ系は読み込んで無いんですが。